ここから本文です

しぶこフィーバーと藍ちゃん現象 戸張捷氏に聞く

8/24(土) 21:33配信

ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)

渋野日向子の「全英女子オープン」制覇から、間もなく3週間。日本人女子42年ぶり2度目のメジャー制覇はスポーツ界「令和初の偉業」とも称され、“しぶこフィーバー”が日本列島を覆っている。

【画像】渋野日向子の天真爛漫さを振り返る

女子ゴルフ界は宮里藍さん以来とも言えるヒロイン誕生に活況を呈すが、そのときと今とは何が同じで、何が違うのか?社会現象になった約15年前の“藍ちゃんフィーバー”の裏表を知り尽くす、ゴルフトーナメントプロデューサーの戸張捷氏に話を聞いた。

「衝撃、という点では渋野のほうが衝撃的だったのかな」

宮里さんは高校3年時、2003年の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」でアマチュア優勝を遂げ、一躍注目を集めた。ただ、それ以前のジュニア時代からナショナルチームに所属し、プロの試合にも出場してテレビインタビューを受けるなどゴルフ界ではそれなりの知名度があった。

一方、渋野はアマ時代に目立った成績を残しておらず、高校卒業後に1度プロテストに失敗し、昨年に2度目の受験で合格。“無名”のまま今年5月の国内メジャー「ワールドレディスサロンパス杯」で初優勝したが、その時点でも世間の耳目を引いたとは言い難い。

その笑顔と強さでゴルフ界を超えた人気を博するのは、やはり「全英」制覇の快挙を待たなくてはならない。

「4月のフジサンケイレディスのときに『いいスイングをするな、いつか勝つだろうな』と思ったけど、すぐに勝つとは思わなかった。ナショナルチームにいたわけではなく、彗星のごとくいきなり勝った」

宮里さんはアマチュア優勝の翌月、プロに転向した。ルーキーイヤーとなった2004年のシーズン開幕戦でいきなりプロ初優勝を成し、年間5勝を挙げた。「国民的スター」の条件に、プレッシャーに打ち勝つ強さが必要なのは間違いない。

「渋野はショットメーカーが生きるコースで勝っている。全英女子のウォーバーンGCもリンクスではなく、林間コース。高い球を打ってボールを止めるので、十分だった。勝ったこと自体はすごいけど『どこでも対応できる力があるんだな』というのを見せるためには、来年の全英までにどういうゴルフをしてくるかで変わる」

「ここから後は絶えず『いつ勝つんだろう』という目で見られるようになる。日本のトーナメントにいくら勝っても『次にメジャーで勝つのはいつだろう』と思われるのが、ちょっと大変だなと思う。勝ったのが最初で、後からファンやメディアがついてくるという状態。藍ちゃんとも石川遼とも違う歩き方だね」

渋野は「全英」の優勝会見で、目標の存在として宮里さんを挙げた。「宮里藍さんのような日本を代表する、みんなに愛される選手になりたい。ジュニアからも尊敬される選手になりたい」

戸張氏は、その実現にはゴルフを通じての自己表現が重要になると説く。

「藍ちゃんの生真面目さというのかな…藍ちゃんの自己表現の仕方と渋野の表現の仕方は少し違うけど、どちらも質問に対して考えた返事をきちっとしている。笑っているのも、無理して笑うと疲れちゃけど、普通に笑っている」

「ただ、ある程度年齢を重ねていくと、純粋に素直に笑うというのが変わってくるときが来ると思う。そうなったときにどう変化していくのか。ゴルフを通じて自分をどう表現するか、だと思う」

シンデレラストーリーはまだ第2章に入ったばかりだ。(神奈川県箱根町/石井操)

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事