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“トップ・オブ・トップ”明日海りお、宝塚生活最後の「愛届ける」

8/24(土) 17:59配信

スポーツ報知

 宝塚歌劇団の“トップ・オブ・トップ”花組・明日海(あすみ)りおのサヨナラ公演が23日、本拠地の兵庫・宝塚大劇場で幕を開けた。ミュージカル「A Fairy Tale―青い薔薇(ばら)の精―」は「自分のすべてを役に預けて」ミステリアスな精霊の役を、ショー「シャルム!」では「男役の集大成」を体現する。入団から17年目。「リラックスして舞台に立つことが、ファンの皆さんに愛を届けるのには一番いい」と、持ち味のしなやかさで最後のステージに臨んでいる。(筒井 政也)

 美しく麗しいタカラジェンヌの代表格が、花道の第一歩を踏んだ。退団を「あえて考えないようにして」稽古に励んだラスト作。「A Fairy―」では、人間との出会いで変わっていく「青い薔薇の精霊」エリュを繊細に演じている。

 男役には貴公子系、リアル系など多彩なタイプがあり、明日海は中性的なフェアリー(妖精)系と呼ばれてきた。「妖精役と聞いて少しヒヤリとしました。『どんな役も幼く感じられる』『娘役の方が合っているのでは』というご意見をいただいた時期もあったので」と葛藤も混在したが、異世界の耽美(たんび)さで魅了した「ポーの一族」(2018年)と同様、明日海にしかやれない役柄だ。「人間ではない凄(すご)み、切なさを表現できれば。入団してから『何を考えているのか分からない』と言われることが多く、そんな部分はうまく使えるかも(笑い)」

 演出の植田景子氏からは「薔薇は、ちゃんと手をかけないと美しく咲かない」と説明された。「私自身、舞台人としては、ほぼゼロの状態で始まったので、手はかかりましたね」と宝塚での鍛錬と重ね合わせ「悩んだり、打ちひしがれて、入団したころはひ弱だったけど、根性が付いた」。17年の成長を示すように、大劇場に大きく咲き誇る。

 「こだわりが人より強い」男役の情熱は、ショーで全開する。「軍服を着た中詰め、黒えんび…男役の総まとめ的な内容。トップ初のショーが稲葉太地先生(15年『宝塚幻想曲』)。4年を経て、このように変化しました!を楽しみにしてほしい」とアピールした。

 劇団100周年以降、変化と進化が求められた。13年、花組を継ぐべく月組から異動。14年のトップ就任時は「こんなんで、どうしよう」と不安も抱えたが、作品ごとに自信を付けた。転機の一つが17年のショー「サンテ!」。02年の花組・匠(たくみ)ひびきの卒業公演「カクテル」のリスペクト演出だ。

 「『私なんかが…』という思いもありましたが、花組生としての誇り、先輩方への感謝が生まれてきました」。そして卒業を決意して迎えた今年は「自分ができる、ありったけのことをやろうと思ったら、舞台上ですごく呼吸が楽になった」という。退団後の進路も想像してみたが「稽古にすべてを注いでいない罪悪感から少し体調を崩したので、考えるのをやめました」。精神的によどみない状態でラストスパートをかける。

 次代を担う花組生に背中を見せるのも最後。「卒業発表後、下級生の『私たち、急成長を求められてる!?』という雰囲気をすごく感じて(笑い)。暇さえあれば『聞いておきたいんですが…』と目をキラキラさせて来る。すごくかわいくて、うれしい。自分の退団公演なので重箱の隅をつつきつつ、助言を求められたら、思うところは素直に伝えたい」。愛する花組の未来のために、すべてを出し尽くす。

 ◆明日海 りお(あすみ・りお)6月26日生まれ。静岡市出身。2003年4月「花の宝塚風土記」で初舞台。89期生。月組配属。13年3月に花組に組替えされ、14年5月に花組トップスターに。トップ在任歴は退団時で約5年6か月となり、平成に誕生したトップでは宙組・和央ようか(約6年1か月)、星組・柚希礼音(約6年)に次ぐ3番目の長さとなる。身長169センチ。愛称「みりお」「さゆみし」「みりりん」「みりそ」。

最終更新:8/24(土) 17:59
スポーツ報知

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