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アマゾン森林火災、ブラジル大統領が消火に軍派遣を指示 欧州が圧力

8/24(土) 11:12配信

BBC News

アマゾンの熱帯雨林で多発している森林火災について、これまで対策に消極的だったブラジルのジャイル・ボルソナロ大統領は23日、消火活動に軍の出動を指示した。欧州連合(EU)各国が、対策を求めて圧力をかけていた。

ボルソナロ氏は大統領命令を発し、アマゾン川流域での消火活動に軍の出動を許可した。8月24日から9月24日にかけて、アマゾン地域の自然保護区や先住民居住区、境界地域への軍を派遣を許可するという内容。地方自治体は「環境犯罪に対する(中略)防犯的行動」を政府に要請し、軍に「出火の状態を監視し消火する」よう求めることができる。

大統領は23日夜、テレビ演説を行い、火災対策に軍の出動を許可したと表明した。

「軍人としてアマゾンの森林を愛することを学んだ。そのため、保護に協力したい」と、軍人出身の大統領は述べた。

フェルナンド・アセベド・エ・シルバ国防相が、命令の実施を所管する。

「地球の肺」とも呼ばれる広大な熱帯雨林で多発する火災への対策を求めて、欧州各国がボルソナロ氏に強い圧力をかけていた。フランスやアイルランドは、ブラジル政府がアマゾン森林火災の対策を強化しなければ、南米諸国とEUの自由貿易協定(FTA)を批准しない姿勢を打ち出していた。

フィンランドのミカ・リンティラ財務相は、ブラジル産牛肉の禁輸を検討するようEU各国に呼びかけていた。フィンランドは現在、半年ごとに交代するEU議長国。

23日にはブラジル各地で環境保護団体が抗議行動を展開し、対策を求めた。さらにロンドン、ベルリン、ムンバイ、パリなど世界各地のブラジル大使館前でも、大勢が集まり抗議した。

ロンドンのブラジル大使館前で抗議に参加した33歳女性はBBCに対して、「いずれここロンドンでも空が真っ黒になるのを、ただ何もしないで待っているわけにはいかない」と話した。

■ボルソナロ氏はNGOを批判

ブラジル国立宇宙研究所(INPE)の人工衛星データによると、アマゾン川地域で起きる森林火災の件数が過去最高に達し、2018年の同時期と比べて83%増加している。

ボルソナロ大統領はこれまで、INPEのデータを批判し、所長を解任したほか、政府が記録的な件数の火災に対応するのは不可能だと消極姿勢を示していた。

これに対して環境保護派は、森林を伐採したり、森を焼いて放牧地を拡大したりすることをボルソナロ氏が奨励してきた結果、森林破壊が急速に進んでいると非難している。

批判を受けてボルソナロ氏は、非政府組織(NGO)による放火が原因ではないかと発言したものの、具体的な根拠は示さなかった。23日にも、相次ぐ火災の責任は誰にあるのか問われたところ、ボルソナロ大統領は「インディオだ、インディオのせいだと私に言わせたいのか?  火星人のせいだと言わせたいのか?  (中略)全員があやしいが、一番あやしいのはNGOだ」と持論を繰り返した。

23日のテレビ演説では、ブラジルの環境保護政策について「根拠のない情報」を広めている者がいると批判を繰り返し、熱帯雨林の大半を保護するために必要な「現代的法制」は十分整っていると強調した。

「あの地域には2000万人以上のブラジル人が住んでいると、留意しなくてはならない。その人たちに発展の機会を与えなくてはならない。保護だけすればいいというものではない」と、ボルソナロ大統領は述べた。

また森林火災の件数については、過去15年間の「平均値」に近いと述べ、「伝統的に暑く乾いた時期の最中だ。風が強く、この時期には毎年、山火事がある。特に暑い年には山火事が増えるものだ」と自然要因を強調した。

アメリカ航空宇宙局(NASA)によると、アマゾン盆地全体の森林火災は過去15年間の平均値に近いという。

一方でブラジルのINPEは、今年の火災発生は通常の乾季と大きく異なっていると指摘。今年1~8月21日の間に7万5000件以上の森林火災が発生し、昨年の同期間の4万件を大きく上回っているという。

ブラジルの乾季に森林火災が発生するのは珍しくないが、放牧地を確保するための違法な放火によるものもある。

科学者からは、ボルソナロ氏が就任した1月以降、アマゾンの森林減少が大きく加速したとの指摘もある。

■欧米の反応は

ドイツのアンゲラ・メルケル首相、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、イギリスのボリス・ジョンソン首相は揃って、アマゾン火災を「国際的危機」と呼んだ。

メルケル首相は「喫緊の緊急事態」だと言い、マクロン大統領は「私たちの家が燃えている」とツイートした。両首脳は24日夜からフランス・ビアリッツで開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット)において、主要議題として取り上げる必要性を呼びかけている。

これに対してボルソナロ氏は、マクロン氏が「政治的得点」のために植民地主義の宗主国的に介入しようとしていると反発した。

ジョンソン英首相は、アマゾン熱帯雨林を「特に素晴らしい地球の名勝のひとつ」と呼び、イギリスは「できる限りの支援をする用意がある」と述べた。

ドナルド・トランプ米大統領は23日夜にボルソナロ氏と話し合ったとツイート。「アマゾン熱帯雨林火災でアメリカに手伝えることがあるなら、支援する用意があると伝えた!」と書いた。

■なぜアマゾンが大事なのか

アマゾンは世界最大の熱帯雨林地域で、300万種もの動植物が生息し、100万人の先住民が暮らしている。二酸化炭素を吸収することで、地球温暖化の進行抑制に欠かせない役割を担ってきた。

国連のアントニオ・グテレス事務総長は22日、アマゾンでの火災を「深く懸念している」とツイートした。

「地球温暖化の危機にある中、これ以上、酸素と生物多様性の源へのダメージを受ける余裕はない。アマゾンは守られなければならない」

https://twitter.com/antonioguterres/status/1164586391629705216? s=20

INPEは7月、6月のアマゾンでの森林減少が前年同月比で88%増加したとのデータを発表した。

これに対しボルソナロ氏は「焼畑」の時期に過ぎないと主張。INPEのリカルド・ガルヴァン所長がうそをつき、政府に損害を与えようとしていると非難した。ガルヴァン所長は解任させられた。

ボルソナロ氏は大統領選中には、熱帯雨林を傷つける行為への罰金を引き下げ、環境省の影響力を縮小するつもりだと公約していた。

(英語記事 Amazon fires: Brazil sends army to help tackle blazes)

(c) BBC News

最終更新:8/24(土) 11:22
BBC News

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