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岡田光世 「トランプのアメリカ」で暮らす人たち  「禁断のアサルトライフル」に守られる思い 後編

8/25(日) 16:40配信

J-CASTニュース

  2019年8月3日と4日未明、米国で立て続けに銃乱射事件が起きた時、私は米中西部ウィスコンシン州にある人口2,600人ほどの小さな町にいた。1年間、交換留学生として学んだ高校の同窓会に出席するためだ。ここは北海道のような酪農地帯だ。

 前回の記事「銃乱射の日常めぐる『思い』を聞く」に続いて、銃が身近な地元の知人の話を紹介したい。

■夫からプレゼントされた銃

 キャシー(仮名、60)は、車の通る田舎道から数十メートル入った森のなかで、ひとりで暮らしている。通りから家が見えないので、私と共通の友人は「もし彼女に何かあったら」と心配している。

 彼女の家には、保身用にアンティークの銃がある。亡き夫が、数年前にプレゼントしてくれた。この辺りは犯罪率が低く、家の鍵をかけないところも少なくない。

 「町中に住んでいたら、もっと銃の必要性を感じるのだろうけれど。それでも、銃があると心強いわ」とキャシーは言う。

 敷地が広いので、ペットボトルを標的にし、夫から射撃の指導を受けた。実際に銃を使ったのは一度だけ、飼っているハトをアライグマが襲った時だ。その辺りは野生動物を追い払ったり、ハンティングしたりするので、住民が銃声に驚くこともないという。

  「銃規制で善良な市民から銃を取り上げることには、大反対だわ。犯罪のために銃を手に入れたい人は、必ず手に入れる。そうなれば、悪者から身を守る手段が奪われ、より危険な社会になる。相手が銃で襲ってきたら、私はナイフで対抗しろと言うの? 銃を保持する権利、憲法修正第2条を強く支持するわ」

 しかし、銃が保身のために使われることはほとんどない、というデータもある。

教師は学校で銃を持つべきか

 憲法修正第2条には、「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有しまた携帯する権利は、これを侵してはならない」とうたわれている。

 キャシーは「残酷なまでにぶちあけた話をするとね」と断りながら、「学校で校長をはじめ教職員が、銃を携帯すべきだと信じているの。そうすれば、学校での乱射事件はなくなる。教職員が銃を持っていると知ったら、学校に銃で押し入ってこようとは思わないでしょう」と言い切る。

 2018年2月、フロリダ州の高校で起きた乱射事件の直後、トランプ大統領は「教師たちが特別な訓練を受け、防衛のために学校で銃を携帯すべきだ。教師だからこそ、愛する生徒たちを守れるのだ。銃のない学校は、心に病を持つ臆病者の格好の標的になってしまう」と訴えた。

 これに対し、民主党支持者らを中心に「教育の場に銃を持ち込むとは」、「学校は戦場ではない。必要なのは銃でなく、銃規制だ」と激しい批判の声があがった。

 「トランプは好きじゃないけれど、それについては全面的に賛成する」とキャシーは言う。

 「でも、殺傷能力の高いアサルトライフルなどは、絶対に必要ない。法律で厳しく規制されるべき」と彼女は繰り返した。

  「あなたの夫も銃を持っていたのね」と聞くと、彼女はしばらく沈黙し、「私の夫は銃マニアだったの。アサルトライフルも持っていた。たぶん不法に手に入れたのだと思う。でも、夫のものだし、見て見ぬふりしていた。家のあちこちに弾丸を込めた銃があったわ」

 確かウィスコンシン州は銃規制が甘いと記憶していたので、そのあとで私が確認すると、全米50州のうちウィスコンシン州を含む43州には、アサルトライフルに関する規制がない。同州ミルウォーキーの銃販売店2店に電話し、間違いないことを再確認した。

 ウィスコンシン州ではアサルトライフルに関する規制がないと私が伝えると、キャシーは驚いた。

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最終更新:9/2(月) 10:24
J-CASTニュース

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