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統計学的に有意に減少している…とは客観的な解釈なのか

8/25(日) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

【生活と健康 数字は語る】(67)

 前回、男性の喫煙率が10年前の39.1%から29.4%まで下がっているという結果を示しましたが、ここにはすでに「下がっている」という解釈があります。しかし、ルールを「主観的な解釈で」とすれば、30%も40%も半分以下という点では、ほとんど変わらないという主観的解釈も十分納得できるものです。

 それでは、他にどんなルールに基づく解釈が可能でしょうか。例えば、「10%以上の差」というルールにすれば、差は9.7%ですから減っていないことになります。ただ、「5%以上の差」とすれば減っていることになり、10%とか、5%とか、差の基準が主観的に決められる以上、このルールも主観的な基準と言ってよさそうです。

 そうなると客観的な解釈とはどんなものなのでしょうか。そこに登場するのが統計学的な解釈です。統計学的な解釈にもいろいろなものがあり、最もよく使われているのが、「検定推定統計」と呼ばれるものです。

 検定推定統計の解釈は「ここ10年の男性の喫煙率は有意水準5%で統計学的に有意に減少している」などと、いかにも正しそうな表現で書かれます(ちなみに「有意」とは確率的に偶然とは考えにくく、意味があることを指す。「有意水準」とは統計上、ある事象が起こる確率が、偶然とは考えにくいと判断する確率のこと)。

 となると、そこには主観が排除されて、客観的にも真に減少していると思いたくなります。

 しかし、ここにも実は「ルール」があります。有意水準5%と書きましたが、これは「ルール」のひとつです。それが本当に客観的だと言えるルールなのか、しばらく連載の中で考えていきたいと思います。

(名郷直樹/「武蔵国分寺公園クリニック」院長)

最終更新:8/25(日) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

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