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『あんさんぶるスターズ!』の楽曲を手がける音楽プロデューサー・桑原聖と作詞家・松井洋平が『あんスタ!』楽曲について語る「ひとりひとりのアーティストに楽曲を提供する」【インタビュー】

8/25(日) 21:00配信

超!アニメディア

 人気スマートフォンゲームが原作の、TVアニメ『あんさんぶるスターズ!』。雑誌「アニメディア」9月号には、音楽プロデューサー・桑原聖と作詞家・松井洋平の対談インタビューを掲載。アニメ&ゲームの主題歌制作秘話など、楽曲についてたっぷり語ってもらった。超!アニメディアでは、本誌に入らなかった部分を含めたロング版をお届けする。

――おふたりは『あんさんぶるスターズ!』(以下『あんスタ』)の原作ゲームから、楽曲制作に関わられています。本作のアニメ化を知ったときはどんなお気持ちでしたか?

桑原 感慨深いと思いつつも、『あんスタ』の物語をどこまで、どうやって描くのだろうと気になりました。原作ゲームは4年以上の歴史があり、これまでのシナリオのボリュームも膨大なので、アニメの尺にどうやって収めるんだろうなって。

松井 僕も「一体何クールやるんだろう?」って思いつつ、とんでもない密度のアニメになるんだろうなという期待感もありましたね。重みと深みがある話なので、作る方はもちろん、見る方も覚悟がいるんじゃないかなって。アニメから『あんスタ』を知る方は、どんな反応をするのかなというのも楽しみにしていました。


桑原 たしかに。僕自身『あんスタ』に初めて携わったときは、まさかこんなに重みのある話があると思わなくて、ストーリーを読んだときは衝撃を受けました。シナリオを担当されたのが日日日さんと聞いていたので、ある程度は覚悟をしていたのですが、「これほどとは……」という印象でしたね。

松井 アニメの5話で原作ゲームでも人気の高い「追憶*マリオネットの糸の先」のエピソードをやっていましたけど、あれはアニメから入った方はかなり衝撃を受けたんじゃないですかね。僕は『あんスタ』って、キラキラしたアイドルを描くというよりも「青春」に重きを置いていると思っていて。アイドルたちがそれぞれ抱えている問題は案外深いんですけど、どうやってそれを乗り越えていくかというのがお話の肝になるので、「見ていて辛い」と思ってもくじけずについてきてほしいですね。

桑原 たしかに最終的には「努力・友情・勝利」みたいなさわやかな展開になりますからね。アイドルたちの青春がアニメでどう描かれるのも楽しみでしたし、転校生がアニメでどう動くのかも気になっていました。

――TVアニメのOP主題歌「Stars’ Ensemble!」を作る際に意識したことをそれぞれ教えてください。

桑原 「Stars’ Ensemble!」の雰囲気は、原作ゲームの主題歌「ONLY YOUR STARS!」を踏襲しようと決めていました。それなら同じ作詞・作曲者の方にお願いしようと思い、作詞は松井さんに声をかけたんです。

松井 「ONLY YOUR STARS!」のときは、まだ原作ゲームがリリースされる前で資料も少なかったので、これからどんな物語が展開するのかなと想像しながら作詞をしていました。「Stars’ Ensemble!」は、物語を全部知っている人間がタイムリープしてもう一度「ONLY YOUR STARS!」を作ったという感じですね。

桑原 でも「ONLY YOUR STARS!」は、物語を知ってから改めて聴くと、「この歌詞ってこのシーンの暗示だったのでは」と想像できる。資料の少ない状態でこの歌詞を書いたのって、すごいことだと思います。「Stars’ Ensemble!」も、アニメを見る前に聴くのとあとで聴くのとで、印象が変わるような曲になっているのではないかと、個人的には思っています。

松井 「ONLY YOUR STARS!」のときは、世界観やキャラクターを歌詞に盛り込もうという意識でした。「あんさんぶる」は群像劇という意味なので、おそらくアイドル同士の対立もあるのだろうと思い「ぶつかる」というフレーズを入れましたね。この曲は「Trickstar」の明星スバルと遊木真が歌うことをイメージして歌詞を作ったんです。「Stars’ Ensemble!」は37人で歌っているので、そこが一番の違いかもしれません。「ステージ」という言葉が両曲に入って、「ONLY YOUR STARS!」はアイドルとしてのステージ、「Stars’ Ensemble!」では夢ノ咲学院そのものを意味しています。

桑原 37人……。収録はものすごく大変でした(笑)。アニメのOP主題歌ということで、「やっぱりみんなで歌ったほうがいいよね」となって決まったのですが、いざやってみると「録っても録っても収録が終わらないなぁ……」と(笑) 。ユニットが歌うパートは少ないのでひとりひとりの収録が長いわけではないんですけど、歌に一番合うマイクや声の組み合わせに合うマイクを選ぶので、機材の調整やセッティングに30分くらいかかるんですよね。

松井 37人で歌うとか、もはや合唱コンクールですよね(笑)。でも、全員で歌うからこそ、その分メッセージも広がりを見せるし、いろいろな見え方ができる曲になったと思います。

桑原 「Stars’ Ensemble!」は歌詞もメロディーも素敵なんですけど、じつは一個だけ罠があるんです。サビに3か所合いの手が入るのですが、その位置が超難しくて! 37人中、一発で決まった人はかなり少なかったです(笑)。意識してもらったところだと、「Stars’ Ensemble!」にはソロパートがほとんどないので、よりキャラ感や個性を出してもらったことですかね。

松井 歌詞のほうも、全部が全部キャラに寄せられないので、Dメロでそれぞれのユニット色が出せるように工夫しました。

桑原 Dメロは本当にすごいですよ! それぞれのユニットのパートがDメロの最後につながるようになっているんです。初めて聞いた人にもユニットのコンセプトが伝わるので、本当にすごいなと思いました。ただ「Stars’ Ensemble!」は37人全員ひとりずつ収録して、後から歌声をミックスしていたのですけど、37人の音声トラックを同時に処理できるマシンがなかなかなくて。大人数ならではの苦労がありましたね。

――これまでの『あんスタ!』楽曲で、とくに思い入れのある曲は?

桑原 僕は「Valkyrie」の「礼賛歌」です。原作のHappy Elementsさんから「格調高い壮大な曲を作りたい」と相談されたときは、「あれ、この子たちアイドルだよね?」と戸惑いました。「礼賛歌」を作ってから、僕のなかで各ユニットにふさわしい“アイドルソング”を作ろうという意識は消えて、ひとりひとりのアーティストに楽曲を提供するという意識に変わっていきました。そういう転換のきっかけになったという意味でも、「礼賛歌」は印象に残っていますね。

松井 わかる。あの曲の歌詞は僕が担当しましたけど、本当に大変だった。「礼賛歌」って歌詞は難しい言葉が多いんですけど、内容は要約してしまえば「僕の歌を聞け!」ってお師さん(斎宮宗)がブチ切れているっていう(笑)。「いい歌はこれ!」って突きつけてくる歌ですね。

桑原 そうそう、お師さんブチ切れソング(笑)。簡単な言葉に置き換えてみると、すごくおもしろい歌詞なんですよ。ライブでもすごい盛り上がるんですよね。「Valkyrie」のふたりを演じている高橋広樹さんと大須賀純さんも、ライブの振り付けにある「扉を開く動きが超気持ちいい」って言っていました。

松井 僕の思い入れのある楽曲は「Knights」の「Silent Oath」かな。結構『あんスタ!』の楽曲の中でも特殊な曲で、あそこまでアイドルソングに振り切った曲はないかなって思います。「Knights」にしかできないっていうところに天才らしさを感じます。ユニットとしての彼らにしか歌えないけれど彼ら個々のパーソナリティとは少し違うアイドルソングとして一番上手くできたと思います。

桑原 そもそも思い返すと、これまで『あんスタ!』の楽曲って150以上もあるんですよね。僕はユニットCDから音楽プロデューサーになったのですべてに携わったわけではないのですが、ここまでたくさん作ったなと改めて思います。

松井 『あんスタ!』の楽曲は、曲単体として聞いてもクオリティが高いですけど、楽曲にまつわるストーリーを知ってから改めて聞くと違った印象になる、というのがおもしろいですよね。もし楽曲だけ知っているという方がいらっしゃったら、ぜひ好きな曲にまつわるエピソードも知っていただき、新しい発見をしてもらいたいです。ただ曲を作る側は、毎回プレッシャーがあるんですよね。夢ノ咲学院には天才が多すぎて、作中で「天才の作る曲」とか言われると、いきなりこちら側のハードルが上がる(笑)。

桑原 難しいですよね。でも喜んでくださるファンの方がいるからこそ、がんばれている気がしています。

松井 そうですね。ちなみに僕は日々樹渉が好きなので、彼のソロ曲の依頼が来たときは「やりぃ!」って思いました。「Amazing☆World」は「響き渡る」で始まって「響き渡る」で終わろうって決めていました。

桑原 渉は一見ぶっ飛んでいますけど、仲間思いな一面が随所に見えていいキャラクターですよね。ちなみに僕は、教師の佐賀美陣が好きで、「教師の曲も作りましょう」とHappyElementsさんに話していたんですよ。そうしたら椚章臣とのデュエットソングという形で実現したので、あれはうれしかったです。

――アニメは現在5話(アニメディア9月号発売時点)まで放送されていますが、印象的だったシーンは?

松井 僕はアニメでアイドルたちのステージを見るのを楽しみにしていたので、すべてのステージが印象に残っています。2話の「紅月」のステージは、舞台版『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』でも見せていた和傘の演出がアニメならではのものになっていて、見ていて楽しめました。

桑原 1話で大神晃牙のソロ曲「RIOT WOLF」をステージで流せたのがよかったですね。ソロ曲がなかったら、彼が所属している「UNDEAD」の曲をひとりで歌っているシーンになっていたと思います。各ユニットやソロ曲がそろっているタイミングでアニメを迎えられてよかったと思いましたね。

――最後に、アニメディア読者の皆さんにメッセージをお願いします。

松井 『あんスタ!』の見どころはやっぱり、アイドル同士が対決する夢ノ咲学院独自のシステム「ドリフェス」だと思います。いろいろなユニット同士の対決が、アニメでどんなふうに描かれるのか、僕自身も楽しみにしているんです。皆さんもぜひ、「ドリフェス」を楽しみにしながら今後のアニメの展開を見守ってくださればと思います。

桑原 僕は個人的に、「ONLY YOUR STARS!」がアニメのどこで使用されるのか楽しみにしているんです。あの曲はゲーム主題歌という位置づけですが、僕はアイドルたちからプロデューサーである皆さんへの感謝を示した歌だと思っているんです。皆さんも楽しみにしていてください。そしてこれからも『あんスタ!』をよろしくお願いいたします。

★CD情報
Stars’ Ensemble!
アーティスト:夢ノ咲ドリームスターズ
価格:1000円(税別)
フロンティアワークスより発売中
収録楽曲:アニメオープニング主題歌1曲と「Trickstar」による楽曲紹介ミニドラマを収録

TVアニメ『あんさんぶるスターズ!』
★放送情報
TOKYO MXにて7月7日(日)22時30分より
サンテレビにて7月7日(日)24時30分より
KBS京都にて7月7日(日)23時00分より
テレビ愛知にて7月7日(日)26時05分より
BS11にて7月9日(火)24時00分より
※放送日時は変更になる場合がございます。

★ 配信情報
AbemaTVにて地上波同時配信中
そのほかのサイトでも順次配信予定

(c)Happy Elements K.K/あんスタ!アニメ製作委員会

阿部友紀

最終更新:8/25(日) 21:00
超!アニメディア

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