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[コラム]40代の時間

8/25(日) 6:11配信

ハンギョレ新聞

 「もういいよ、もういいよ、そんな教えはいらないよ」。私たちの青春は、ヒップホップグループ「ソテジワアイドゥル」の歌「教室イデア」の歌い出しとともに始まりました。バックパッカー1世になって世界市民の夢を見ました。金大中(キム・デジュン)大統領と金正日(キム・ジョンイル)国防委員長の南北首脳会談に興奮し、平和の夢を継いでいきました。世界へと領土を広げる大企業や、インターネット時代を切り開き勢いに乗った企業で、夢を育みもしました。漢江に架かる聖水大橋が崩落事故を起こした場所、三豊デパートが崩壊した場所で、罪のない子どもたちや大人たちを泣きながら空へと送りもしました。

 40代は産業化と民主化の“譜めくり”の役割を果たしました。ベビーブーム世代と386世代が指揮棒を振り演奏者席を占めたオーケストラで、楽譜をめくって手伝いました。投票所に押しかけ、憲政史上初の平和な政権交代を手伝いました。無名の政治家だった盧武鉉(ノ・ムヒョン)が大統領になる過程を裏で手伝いました。ベビーカーを押して広場の集会に出かけ、大きくなった子どもの手を引いてろうそくを掲げました。そして、いつもの元の場所に戻ってきては、誠実な産業の担い手として働きました。

 ところが、どうなってしまったのでしょうか。子どもたちの頭に同じ内容を詰め込み、隣の生徒を踏みつけてのし上がれとはっぱをかける教室の姿は、いまだにイデアとは程遠いものです。初の南北首脳会談の興奮は、巡り巡ってかろうじてまた首脳会談に戻って来、それすらも危うい状況です。聖水大橋の記憶が身に沁みていた私たちに、セウォル号の惨事は胸をえぐるような涙のデジャビュとして再来しました。

 産業化は成功したというけれど、私たちの経済はいまだに1970年代に国家が提供した地と産業を占めた大手企業がその中心に立っています。新しい企業が割り込む隙間はいまだになく、起業家たちは絶望するばかりです。所得は限りなく集中し、上位10%が全体の半分以上を所有する世界最悪の不平等構造になりました。多くの若者や女性は生産でも補償でも体系的に排除されました。このような中でまだ安定していた製造業の雇用が揺らぎ、40代の職が減り始めました。

 民主化は成功したというけれど、いまだに社会のいたるところで小さな悪の芽が育ち根を張って力をつけ、民主主義を脅かしています。日常の中での不当な序列と差別と嫌悪があらわれ続けています。巨大な悪は消えたけれど、社会的弱者は毎日職場や学校で熾烈に闘っています。社会のいたる所で権限と責任の不一致であつれきが生じています。高度成長のためにすべてを“差し替える”過去の産業化の方法だけでは、巨大な悪を相手に団結して闘う民主化運動の郷愁だけでは、現在の問題を解決できません。

 西江大学のイ・チョルスン教授は著書『不平等の世代』で、「稲作体制」がもたらした序列構造が韓国社会の根幹だったと説いています。年齢の高い集団が年齢の若い集団を支配することにより、年長者集団のうちエリートが全体を支配するように組まれた年功序列型協業体制が、韓国の産業化と民主化を率いたという話です。年長者の知識と技術が決定的に重要だった稲作の構造と似ています。

 しかし、今は前の世代の知恵だけで未来を準備することはできない時代です。新しい世代の方がもっと効果的に未来に備えられる可能性もある時代です。技術環境と国際秩序が急速に変化してそうなったのです。稲作体制、年功序列構造を打ち壊してこそ成功できる時代です。一世代が席を独占する構造を、世代バランスの取れた構造に変えなければ成功することはできません。

 40代が乗り出して、この構造を変える夢を一緒に夢見てはどうでしょう。高度成長と低成長の間、集団主義と個人主義の間で生きてきた私たちが、バランスの取れる地点を見つけられるのではないでしょうか。

 20代と30代も客席から立ち上がり、指揮者や演奏者の席に移ってこられるよう私たちが助けなければなりません。年齢と序列よりも能力によって指揮者が決まる社会を作らなければなりません。指揮棒をおいた指揮者も、演奏者席や客席で、堂々として幸せでいられなければなりません。国会で、政府で、企業で、非営利団体で、意思決定権者の席での世代バランスを取らなければなりません。社会全般で権限の再構成が行われるようにしなければなりません。

 高校生が立ち上がって4・19革命を起こした1960年代の韓国の中位年齢は10代でした。大学生が時代精神を引っ張っていた1980年代の中位年齢は20代でした。今年の韓国の中位年齢は、43歳です。40代の時間です。前の世代を説得し、次の世代に手を差し出し、コミュニケーションと変化のメッセンジャーとしての役割を果たす時間です。

イ・ウォンジェ LAB2050代表 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:8/25(日) 6:11
ハンギョレ新聞

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