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ハワイ島の今はどうなっているのか? キラウエア噴火から1年、現地に行って取材してきた

8/26(月) 15:10配信

トラベルボイス

2019年7月にハワイ島の復活を目的として、日本の旅行会社と現地サプライヤーとの商談会「ハワイ島サミット」が開催された。昨年5月のキラウエア火山の噴火は日本でも大きく報道され、その影響でハワイ島への日本人旅行者は大幅に減少した。その余波は現在も続いており、今年1~5月の実績では前年比25.8%減の6万1809人にとどまっている。ハワイアン航空と日本航空がコナに直行便を飛ばしているにもかかわらずだ。地元では「報道による風評被害の面が大きい」と訴える。今、ハワイ火山国立公園とその周辺はどうなっているのか。実際に見に行ってみた。

キラウエアの噴火被害は局所的

まず、ハワイ島の基本情報として、その大きさに触れておく。ハワイ島はハワイ主要7島のなかで最も大きく、他6島を合わせた面積よりも広い。四国の約半分、岐阜県とほぼ同じ広さだ。ハワイ島には、北からコハラ、マウナケア、フアラライ、マウナロアの火山があり、今も活動を続けているキラウエアは最も南に位置する。西側のコナ国際空港からは島を横断する「サドルロード(ダニエル・K・イノウエ・ハイウェイ)を通っても160km以上、約2時間30分ほどかかり、東側のヒロからは噴火の火柱が見えたというが、40kmほど離れている。

キラウエアの活動的なリフトゾーンは東と西にあり、昨年5月に割れ目噴火を起こしたのは西側の「レイラニ・エステート」地区。ここの住宅は溶岩流の被害を受けたが、ハワイ島全体から見れば、狭い点でしかない。噴火の連動で頻発した火山性地震によって、最も有名なハレマウマウ火口は陥没したが、火口近くに位置するビジターセンター、ボルケーノ・アート・センター・ギャラリー、ボルケーノ・ハウス・ホテルへの被害はなく、変わらず営業している。

噴火被災地を「生々しい」観光素材に

被害が大きかった「レイラニ・エステート」はリフトゾーンの上にあり、そもそも危険度が高いと分かっていた場所で、それを承知で住民も暮らしていたという。噴火から1年以上が経った現在では、生々しい割れ目が各所に残り、そこに近づくと、熱風を感じるが、危険はない。被害が大きかった場所はいずれも私有地だが、ハワイ州観光局(HTJ)では、この「生々しさ」を観光素材として商品化できないかと模索しており、現在3人のオーナーと話を進めているところだという。

そのうちの一人、「フィッシャーナイン(第9亀裂)」の近くで被害にあったクリスさんは「噴火の時は飛行機のジェットエンジンのような音がした」と振り返りながら、今は凝固した溶岩を歩き、自宅があった場所を案内してくれた。噴火後、クリスさんはかろうじて難を逃れた近隣の家を買い取った。理由は「安かったから」だという。それだけ、住民と火山との距離は物理的にも精神的にも近い。

同じくフィッシャーナインからの噴火で被害にあったヒースさん。噴火によって崩壊した自宅を現在もそのままにしてある。噴火の熱で焼けただれた芝刈り機も当時のままだ。「周りの木々も焼かれ、ここの環境も変わった。海からの風が入るようになり、前よりも乾燥して気温も上がった」と説明してくれた。雨が降ったり、気温が低い時は、割れ目からの蒸気が激しくなるという。

ハワイ島の成り立ちが分かる過去とリアルな今が垣間見られるレイラニ・エステートは、新しい素材として魅力的だ。ただ、同行した旅行会社からは「しっかりと説明できるガイドが必要」との意見も聞かれた。ストーリーの語り手による「学び」の機会を旅行者に提供しなければ、ハワイ島の理解につながらず、旅行者の記憶にも残らないだろう。

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最終更新:8/26(月) 15:51
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