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8年間で来館者数が70万人→197万人に。「サンシャイン水族館」を復活させた“社員育成法”

8/26(月) 13:30配信

新R25

2017年に、「ペンギンが空を飛んでいるように見える」と話題になった「サンシャイン水族館」。

その年の年間来館者数は197万人を記録し、「天空のペンギン」や「草原のペンギン」といったキラーコンテンツが、現在も多くのメディアに取り上げられています。

そんな「サンシャイン水族館」ですが、2009年の年間来館者数は70万人程度という低迷した時期がありましたが、ここ10年間でV字復活を果たしたそう。

この8年間でいったい何があったのか?

『空を飛んだペンギンは次にどこへ向かうのか サンシャイン水族館を復活させた現場改革』の著者・小坂義生さんは低迷期の「サンシャイン水族館」という組織を以下のように分析します。

個々の業務に真剣に取り組むスタッフはきちんといるにもかかわらず、全体としては停滞感が蔓延し、現場のモチベーションの低下やコミュニケーション不足が随所に見られるといった多くの課題を抱えていた。

出典『空を飛んだペンギンは次にどこへ向かうのか』

「サンシャイン水族館」復活の裏には社員の意識改革と大幅な組織改革があり、同書ではそこに焦点をあててまとめています。

そのなかから、「現場スタッフは、どうやって意識改革を起こすことができたのか?」という点を抜粋。「スタッフの目線を上げるマネジメント」のヒントがありました。

エンタプライズ社員に求められた「プロ意識」

来館者数が増加し、制度的枠組みの整備も進んでくると、いよいよ次はサンシャイン水族館スタッフとしてだけでなく、サンシャインエンタプライズ(水族館の運営会社)の社員としてのプロ意識も求められるようになる。

特に総務や事業推進といった機能は、これから会社を担っていく上で重要な役割を果たしていかなければならない。だからこそプロパー社員を育て、その機能を強化する必要があった。

「考え方、取り組み方、知識、常識、そういったものすべてを変えさせられているような状況でした。自分が変わらなければいけないという気持ちにさせられました」(海老原篤氏)

海老原氏にとって代表取締役社長・積田直人氏の印象的な言葉に「予算は意思だ」というのがある。

売り上げ、コスト、利益はすべて「ゴールを設定し、こうしたい」という意思が反映されたものでなければならない。

そのためには、企画一つひとつがストーリーを持たなければならない。

企画の目標値がゴールだとすれば、ゴールに到達するために必要な設備投資費、販促費、宣伝費、人件費などを考えなければならない。

これらを綿密に計算して、利益が生み出される。これまでの経験や感覚だけで立てられるものではない。

海老原氏は、「水族館も変わりましたが、エンタプライズが大きく変わっていきました。たとえるなら、昔のプロ野球球団です。一昔前のプロ野球球団は、親会社の宣伝部門であれば良かった。サンシャイン水族館もサンシャインシティのシンボリックな存在だったので、結果的に赤字でもそれを深刻に受け止めることはなかったのです」と語る。

しかし1990年以降、Jリーグが創設されるなど、プロスポーツの世界も競争が激しくなった。プロ野球球団も、ファンサービスや球場の整備などに投資をし、黒字化に向けて努力を惜しまない。

そうした状況は、サンシャイン水族館が置かれた立場と同様だった。

スタッフの意識改革を促進させるための第一歩として、ビジネス書を中心とした読書会が催されるようになった。

会社の未来像を自分たちで描くためには、ビジネスパーソンとしての知識の蓄積と情報を共有することが必要である。

これから新しい会社をつくり上げようとするときに必要となるのは、書籍やニュースといった情報からでも意見交換を行い、問題意識を共有化することである。

それを皆の前で口に出すこと。「私はこう思う」と発言すること自体が大切であった。

こうして、あらゆる機会を捉えたコミュニケーションの再生活動が行われた。

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最終更新:8/26(月) 13:30
新R25

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