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トーレスが鳥栖にもたらしたもの。数値化できない劇的な変化と自身が描く具体的な未来

8/26(月) 12:48配信

GOAL

現役ラストマッチのニュースは世界中で報道され、SNSには多くのファンが、錚々たるスターたちが、言葉を寄せた。彼が重ねてきた実績と世界に発信する力はやはり別格だった――。ここでは、トーレスが鳥栖を選んだ理由をあらためて振り返りつつ、クラブやJリーグにもたらした価値とこれからについて掘り下げる。(取材・文=藤江直人/ノンフィクションライター)

さらば“神の子”。フェルナンド・トーレス引退特集

日本にも偉大な家族がいる

 家族をこよなく愛する男は右手でまだ幼い次女を抱きかかえ、左手で長女の背中を押し、右側には長男を従えながら、現役最後のピッチにキャプテンとして入場してきた。

「今日は特別な日だと、家族には話していた。まだ小さい子どもたちには理解できなかったかもしれないけど、妻とはキャリアの最初からいいときも、そして悪いときも常に一緒に歩んできた。これからは家族とともに、新しい歴史をスタートさせたい」

 サガン鳥栖のホーム、駅前不動産スタジアムにおける2019年8月23日の映像をいつか子どもたちが見たときに、自分が日本の地に刻んだ足跡を理解してほしい――フェルナンド・トーレスは穏やかな笑顔を浮かべて、日付が変わる直前まで行われた記者会見を締めくくった。

 キックオフ直前に豪雨に見舞われ、いざ始まった試合では盟友アンドレス・イニエスタに差配されるヴィッセル神戸の猛攻にさらされ、大量6失点を喫して敗れた明治安田生命J1リーグ第24節。引き続き開催された引退セレモニーで、トーレスは短い言葉に思いの丈を凝縮させた。

「私にとって最も大切なものは家族です。そして、この日本という国にもいま、偉大な家族がいると誇りをもって言いたい」

 日本にいる家族とは、最後の所属クラブとなった鳥栖に関わるすべての人々を指す。約18年間におよんだプロ人生のキャリアで、鳥栖でプレーした期間は1年あまり。それでもトーレスは「これからも常にクラブとつながりをもっていきたい」と、今生の別れではないと力を込めた。

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最終更新:8/26(月) 12:54
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