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世界のサブスクリプションの台頭、日本が出遅れる理由は「テレビ」にあった?

2019/8/29(木) 12:05配信

みんなの2020

 2020を契機にテレビの世界で変わるものがあるとしたら、それはいったい何か?5Gの到来でネット動画配信の充実は期待のひとつにあるだろう。だが、テクノロジーの流れ以上に注目したいのは、コンテンツの流通革命だ。今、じわじわと支持を集めている見逃し配信やサブスクリプションなどの視聴方法がコンテンツの概念や価値そのものを変えている。コンテンツファーストの時代に起こるその変化とは何か?

世界的なサブスク勢の台頭、出遅れる日本のコンテンツ市場

 記念すべき東京2020大会開催をスマホで視聴する人も多いだろう。超高精細テレビで楽しむ人も増えるかもしれない。スポーツはリアルタイムで視聴したいコンテンツのひとつであり、ビックイベントとなれば、視聴手段を広げるきっかけや新しいデバイス購入にも繋げやすい。こうした理由から、5Gサービスの開始といったインフラ環境の整備が進められている。だが、世界中から注目が集まるタイミングに、ライブストリーミング配信の環境整備だけでは物足りない。オリンピック・パラリンピックの競技種目をVRで疑似体験できるサービスが広がること、AIやブロックチェーン、ビッグデータといった最先端テクノロジーによるエンターテイメント業界内の制作システム構造の進化にも期待したい。実際に、政府も民間もテクノロジー分野の投資に積極的になっている向きはある。

 そんななか、日本が立ち遅れている感があるのはコンテンツ流通の変革だ。

 世界的には2020年までにディズニーをはじめ、AT&T傘下になったワーナーメディアやアップルがサブスクリプションサービスに参入する計画があり、既存のNetflix、Amazon、Hulu、YouTubeら市場を広げてきたプレイヤーとの競争はますます激しくなるだろう。そして、この巨大化するサブスク勢が既存のテレビの世界に脅威を与えている。

 『ハウス・オブ・カード』の世界的ヒットにはじまり、今年のアカデミー賞では監督賞・外国語映画賞・撮影賞の計3部門で総なめした映画『ROMA』など、サブスクのオリジナルコンテンツがこの5~6年の間に大きく躍進している。Netflixは、2019年の制作予算を150億ドル(約1.6兆円)まで拡大するとみられ、さらに加入者層の拡大を図って、高予算の映画の制作に数億ドルを費やす方針もあるようだ。米ウォールストリートジャーナルは「3つの高予算の映画作品を作るために5億2000万ドル以上を投資している」と報じている。

 こうした動きがコンテンツ流通全体に影響を与えている。フランスのリサーチカンパニーWIT社によると、世界でリリースされたサブスクのオリジナルドラマの数は増加の傾向を辿り、2018年は地上波とサブスクのダブルウィンドウ向けに制作された新作ドラマは前年比で128%も増加したという。特に若年層をターゲットにしたドラマの開発が集中していることも報告されている。国別ではNetflixやAmazonプライムビデオ、日本では展開されていないがFacebookが運営する「Facebook Watch」などで制作されているアメリカ産ドラマはサブスクオリジナルドラマ全体の85%を占める。また、イギリスやドイツ、スペインなどヨーロッパ発のオリジナルドラマも増加。これに並んで、アジア発ドラマもトレンドとして扱われ、インドや韓国、中国、そしてタイやシンガポールなど制作力を上げるアジア発のドラマも多言語対応のサブスクサービスによって、存在感を増している。

 日本発コンテンツも世界展開されているサブスクサービスに乗っかっている。日本のアニメは特にアニメ専門の欧米サブスクサービスの主力コンテンツであることは言うまでもない事実だ。ドラマやバラエティーのジャンルからも日本で展開されているNetflixやAmazonで全世界配信されているコンテンツが増えている。『テラスハウス』や『深夜食堂』など海外でも認知されているものもある。けれども、アニメ以外は、日本国内の加入者を増やすために投じられた作品が多いのも否めない。

 それはなぜか?戦略的に世界ヒットを生み出すための制作環境が整えられていないからだ。コンテンツ流通の現場で変化が起こっているのにも関わらず、いまいち乗り切れていない。これが、日本が立ち遅れている感を表している。その要因には世界3位のコンテンツ市場規模に導いた地上波テレビの存在が大きい。あまりにも巨大化したため、テレビ広告を主体にしたビジネスモデルが今後崩れていくことに危機感を持ちながら、競争相手が国内のテレビ局に限定されている向きがあるからだ。

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最終更新:2019/8/29(木) 12:05
みんなの2020

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