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中国IT業界が注目した2019年上半期ITニュース

8/29(木) 7:00配信

ZDNet Japan

 2019年上半期の中国ITを振り返る記事が出そろった。2019年の前半はどのような動きがあったのか紹介していく。

 中国のITというと、百度(Baidu)、阿里巴巴(Alibaba)、騰訊(Tencent)のそれぞれの頭文字を取って「BAT」と呼ばれていた。全てのサービスは3社の影響下にないと生きられないというような風潮だったが、そこから百度が大きく脱落した。8月中旬の企業価値において、百度は阿里巴巴や騰訊に大きく差を付けられたばかりか、阿里巴巴に続くECサービスの京東(JD)、フードデリバリーや各種チケットなどのO2Oプラットフォーム最大手の美団(Meituan)、昔のポータルでゲームや越境ECなどに強くなった網易(NetEase)にも越され、6番目の企業となった。さらにTikTokなどをリリースしている字節跳動(ByteDance)も存在感を増し、2019年に入ってECや検索など多方面に業務を拡大している。

 百度の衰退が激しい理由としては、スマートフォンへの移行によって検索のニーズが以前よりも少なくなった点が挙げられる。スマートフォンの移行を加速させるかのように、2019年前半には微信(WeChat)や支付宝(Alipay)のアプリ内でサービスを利用できる小程序(ミニプログラム)が大きく普及した。

 QuestMobileが発表した「中国移動互聯網2019半年大報告」(中国モバイルインターネット2019年半期報告書)によれば、インターネット利用者は横ばいどころか減少する月もあった。モバイルインターネットユーザー数で変化が見られない中で、小程序の普及はユーザーサイドでは最も大きな変化といえよう。中でもキャッシュレス決済サービスを持ち、アプリからさまざまな優良サービスが利用できる微信と支付宝は、ポータルの座を確固たるものとした。

 さて2019年上半期最大のIT系の話題といえば、華為(Huawei)問題だろう。米中問題でやり玉に挙がった後、華為の機器を支持する声が上がり、6月18日のEC商戦日などでもそうだが華為のスマートフォンが飛ぶように売れた。結果的に前年同期に比べ、同社スマートフォンのシェアは17.09%から21.63%と大幅に増加した。OPPOやvivoや小米(Xiaomi)のシェアも高まったが、華為ほどではなかった。中国のスマートフォンは、華為、OPPO、vivo、小米の製品に加え、AppleのiPhone製品ばかりが売れるように。

 華為問題の結果、コンシューマーが華為を支持しただけではない。IT企業は華為問題を受けて、ますます研究開発や特許の所有は武器であり必要だと思わせた。華為は人工知能(AI)プロセッサー「Ascend 910」を発表したが、華為以外のもAIプロセッサーを開発している。また逆境の中で、Androidを代替するOS「鴻蒙」を発表。同OSを搭載したスマートテレビを早くも発表した。情報産業省に当たる中国政府工信部が第5世代移動通信システム(5G)の商用ライセンスを発行。同社製5G端末が登場した。5Gのスタートは中国の業界内でも大きなニュースだ。

 中国ハイテク業界で明るいニュースと言えば、ハイテク企業が上場する中国版ナスダック「科創板」の取引開始だ。スタートアップでは、特に「K12」と呼ばれる教育や医療企業、電子タバコ、EC向けに販売する高品質な食品やコスメ、自動運転車や電気自動車の話題をとにかくよく見た。自動運転関連のスタートアップが多く登場し、その先端を百度が走るのだが、2019年3月には国土交通省に当たる交通運輸部が、35項目の業界標準を公布したことが話題になった。政府が車に関するルールを決めたことにより、車関連の新サービスや新製品は下半期で増えるかもしれない。

 中国のこれまでのパターンで言えば、多くの企業が出てきた業界はその多くが淘汰(とうた)され、ブラッシュアップされ生き残った企業がその業界をけん引し、それなりに活性化することになる。

山谷剛史(やまや・たけし)
フリーランスライター
2002年から中国雲南省昆明市を拠点に活動。中国、インド、ASEANのITや消費トレンドをIT系メディア、経済系メディア、トレンド誌などに執筆。メディア出演、講演も行う。著書に『日本人が知らない中国ネットトレンド2014』『新しい中国人 ネットで団結する若者たち』など。

最終更新:8/29(木) 7:00
ZDNet Japan

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