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日本は主権国家といえるのか? 米軍優位の日米地位協定・日米合同委員会と横田空域(2) 密室協議による秘密合意(吉田敏浩)

8/31(土) 12:09配信

アジアプレス・ネットワーク

◆日本の高級官僚と在日米軍の高級軍人で構成される日米合同委員会

このような米軍優位の日米地位協定の構造を、より強固なものとする裏の仕組みがある。日米合同委員会の密室協議による秘密合意すなわち密約である。
 
日米合同委員会は日本の高級官僚と在日米軍の高級軍人で構成されている。
日米地位協定の具体的な解釈や運用に関する協議機関である。
名前だけは知られているが、その実態は謎につつまれた組織だ。
 
日米合同委員会の日本側代表は外務省北米局長で、代表代理は法務省大臣官房長、農林水産省経営局長、防衛省地方協力局長、外務省北米局参事官、財務省大臣官房審議官。

アメリカ側代表は在日米軍司令部副司令官で、代表代理は在日アメリカ大使館公使、在日米軍司令部第五部長、在日米陸軍司令部参謀長、在日米空軍司令部副司令官、在日米海軍司令部参謀長、在日米海兵隊基地司令部参謀長。
 
この13名から成る本会議の下部組織として、施設・財務・調達調整・労務・出入国・通信・周波数・民間航空・刑事裁判管轄権・民事裁判管轄権・環境など各種分科委員会、建設・港湾・道路橋梁・陸上演習場・海上演習場など各種部会が置かれ、その全体が日米合同委員会と総称される。
 
そこでは、米軍基地・演習場の場所の決定、基地・演習場のための土地収用、滑走路など各種施設の建設、米軍機に関する航空管制、米軍機の訓練飛行や騒音、米軍が使う電波の周波数、米軍関係者の犯罪の捜査や裁判権、基地の環境汚染、基地の日本人従業員の雇用など、さまざまな問題が協議される。
 
分科委員会や部会には、日本側からは各部門を管轄する政府省庁の高級官僚たち(審議官・参事官・局長・部長・室長・課長とその部下)が、アメリカ側からも同じように各部門を管轄する在日米軍司令部の高級将校たちが、出席して実務的な協議をする。

そこで合意された事項は、「勧告」や「覚書」として合同委員会の本会議に提出、承認される。

日米合同委員会では、日本側はすべて各省庁の官僚で文官だが、アメリカ側は在日アメリカ大使館公使を除いて、すべて軍人である。通常の国際協議ではあり得ない文官対軍人の組み合わせだ。

そのため、アメリカ側は常に軍人の立場から軍事的必要性にもとづく要求を出してくる。基地の運営や訓練など、あらゆる軍事活動を円滑に進めることを最優先して協議にのぞむ。

地位協定は、米軍に基地の運営などに「必要なすべての措置をとれる」強力な排他的管理権を認めており、日本側当局(自治体も含めて)は米軍の許可がないかぎり基地には立ち入れないなど、そもそも米軍優位である。
それを大前提に協議をするため、アメリカ側が有利な立場にあるのはまちがいない。

日米合同委員会は1952年(昭和27年)4月28日の対日講和条約、日米安保条約、日米行政協定(現地位協定)の発効とともに発足した。

本会議は原則として毎月、隔週の木曜日午前11時から開かれる。
議長役は日本側代表とアメリカ側代表が交互につとめる。

日本側による回は外務省の会議室で、アメリカ側による回はニューサンノー米軍センター(港区南麻布にある米軍関係者の高級宿泊施設)の在日米軍司令部専用の会議室で開かれる。

各分科委員会や各部会の会議は、各部門を管轄する各省庁や外務省、在日米軍施設で、必要に応じて開かれる。いずれも関係者以外立ち入り禁止の密室での会合である。(つづく)

*関連図書
『「日米合同委員会」の研究』謎の権力構造の正体に迫る(創元社)吉田敏浩 2016年
『横田空域』日米合同委員会でつくられた空の壁(角川新書)吉田敏浩 2019年
『日米戦争同盟』従米構造の真実と日米合同委員会(河出書房新社)吉田敏浩 2019年

最終更新:9/2(月) 10:03
アジアプレス・ネットワーク

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