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韓国ドラマのリメイク版が日本でヒットしない決定的な理由

9/1(日) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 今年の夏クールも、韓国ドラマが原作のリメイクドラマが目白押し。唐沢寿明(56)と真木よう子(36)がタッグを組み、緊急指令室を舞台に事件の解決を図る「ボイス 110緊急指令室」、大森南朋(47)が天才法医学者を演じ、残された遺体から真実を導き出す「サイン」(テレビ朝日系)。そして、三浦春馬(29)が病気を患う娘の父親役を熱演するアクションドラマ「TWO WEEKS」(関テレ・フジテレビ系)。すべて、韓国ドラマが原作だ。

 昨今、韓国ドラマを原作としたリメイク版ドラマが増加傾向にある。昨年放送された分でも、山崎賢人(24)主演の「グッド・ドクター」(フジテレビ系)、坂口健太郎主演の「シグナル」(関テレ・フジテレビ系)、2017年には長瀬智也(40)主演の「ごめん、愛してる」(TBS系)、16年には中島裕翔主演の「HOPE~期待ゼロの新入社員~」(フジテレビ系)といった、多くの韓国ドラマが日本でリメイクされている。

 すべてのドラマに言えることだが、リメイク版も、そこそこの数字を取るものの、本場韓国での人気ぶりには及ばない。韓国ではいまだに2ケタ台の視聴率が一般的だが、日本では1ケタ台が珍しくない。「半沢直樹」のように、日本で社会現象にまでなったリメイク版ドラマは皆無だ。

■「半沢直樹」のように社会現象にならないのは?

 分かりやすい例を挙げると、「ごめん、愛してる」(04年、KBS)だろう。韓国で放送された当時は、“ミサ廃人”と呼ばれる社会現象が起きた。これは韓国のタイトル「ミアナダ(ごめん)、サランハンダ(愛してる)」から取ったものだが、廃人のごとく、ドラマを見終わった後は何も手につかない人々が続出。このワードが社会現象となり、最高視聴率も29.2%を叩き出した。

 ところが、17年7月期にTBS系の「日曜劇場」で、TOKIO長瀬智也の主演でリメイク版が放送されると、平均視聴率は9.7%にとどまった。

 なぜ、韓国で大ヒットし、人気を約束されていたはずのリメイク版ドラマが奮わないのか。シナリオ自体に問題はないのだが、やはりそこには、役者の演技力であったり、社会的な背景が日本人の感覚に合わないということが考えられる。

「ボイス 110緊急指令室」(日本テレビ系)でいうと、真木よう子の演技が空回りしていて、せっかくのストーリーが頭に入ってこない。

 14年に韓国で放送され、社会現象となったドラマ「ミセン-未生-」(ケーブルチャンネル)を原作にした「HOPE~期待ゼロの新入社員~」(フジテレビ系)が16年に放送された時もダメだった。人気絶頂のHey!Say!JUMPの中島裕翔(26)を主演に持ってきたにもかかわらず、視聴率は6%台に終わった。

 原作はリストラや女性の社会進出など、社会問題を忠実に再現した設定や、説得力のあるセリフが満載の重厚な社会派ドラマだったのに、日本でのリメイク版は演出が悪かったのか、視聴者の気持ちを全く掴むことができず、薄っぺらい恋愛ドラマ仕様に仕上がってしまったことが敗因だろう。

■社会的背景も違う

 そして、先ほども述べたが「ごめん、愛してる」は、親に捨てられたストリートチルドレンの悲哀物語だが、日本では、韓国に比べ、海外に養子に出される子どもの数は圧倒的に少なく、社会的にも話題に上がらない。一方、韓国では、養子に出される子どもの数は多く、その数は約20万人と言われている。その社会的背景の違いにより、日本の視聴者は感情移入ができなかったのではないだろうか。

 やはり、シナリオをリメイクしただけでは視聴者の共感は得られない。役者の演技力、ドラマの演出、様々なものが複合的にマッチしてこそ、大ヒットに結びつくのだ。

(フリージャーナリスト・松庭直)

最終更新:9/1(日) 14:27
日刊ゲンダイDIGITAL

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