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「防災リテラシー向上」カギ握るのは学校教員。東日本大震災の被災地が教えてくれること

9/1(日) 12:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

「まさかここまで来るとは」

津波が河川を何キロも遡上した内陸で被災した人たちや、豪雨で氾濫した河川の周辺で被災した人たちは皆、そう口をそろえる。

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近年、自然「災害」が激甚化しているという表現をよく耳にするが、正確には、自然災害を引き起こす自然「現象」の振る舞いが激しさを増していると言うべきだ。

自然現象が危険な外力「ハザード」となって、私たちの日常を脅かし、被害を生じさせている。

1時間あたりの雨量が50mmを上回る「滝のように降る」豪雨の年平均発生回数は、過去数十年増加傾向にある。「ゲリラ豪雨」と表現されるように雨の降り方が局地化あるいは集中化している。

「スーパー台風」の発生もそうだが、その背景として、地球温暖化にともなう気候変動の影響が指摘される。

「防災先進国」ゆえの油断と過信

災害は、危険な外力であるハザードに対して、土地ごとの自然環境や社会・経済的条件によって、被害の有無や大小が大きく変わる。

だから、それぞれの地域で生きる人たちが、自然の振る舞いにどう向き合うかを考えることが、防災・減災の第一歩になる。

世界を見渡しても、日本は「防災先進国」と言えるだろう。耐震化、防災インフラの整備、予報技術の高度化など、英知を駆使して災害による犠牲を抑えてきた。

しかし、そうした経緯から、防災にそれなりの安心感を持ってしまっていることが、油断や過信につながっている側面もある。

変わりゆく自然とどう付き合うのかを考えること、そして自然が襲わんとするときに自らの命を自らの力でどう守るのか、その術を身につけることは喫緊の課題と言える。

国土交通省と教育大学がタッグを組んだ

そこで大きな役割を果たすのは間違いなく教育だ。さらに言えば、教員の防災リテラシーの向上こそがカギを握ると筆者は考えている。

教員たちには、受け持つ子どもの命を守ること(=防災管理)はもとより、子どもたちが生涯にわたって災害を生き抜く知識や術を教える(=防災教育)重要な使命がある。

2019年7月、国土交通省東北地方整備局は、筆者が勤務する宮城教育大学と防災・減災に関する連携協定を結んだ。

防災インフラ整備や災害対応を担う国交省は近年、教育セクターとの協働に力を入れている。

今後、水害・土砂災害に関して小学校社会や中学校理科などの学習とリンクさせ、効果的に指導するための教員向けブックレットや教材を共同で開発していく。

国交省のように、教育セクターへのアウトリーチは不可欠と考える防災実務者にとって、学校にどうアプローチするかは常に悩みの種だ。

例えば、防災を教える「出前授業」は子どもにも保護者にも好評だが、対象となる子どもの数や実施回数はどうしても限られる。

そこで、教員を目指す学生や現職の教員を対象とした防災教育研修など、防災リテラシーの「底上げ」支援が大きな意味を持ってくる。子どもたちや保護者、地域の人びとへ、その波及効果がきわめて大きいからだ。

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最終更新:9/1(日) 12:10
BUSINESS INSIDER JAPAN

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