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八十里越の今(9月5日)

9/5(木) 8:20配信

福島民報

 只見町の新潟県境に、今しか見られない景色が広がる。二八九号国道の八十里越[はちじゅうりごえ]区間は険しい山々が迫り、滝が勢いよく水しぶきを上げる。これからの季節は鮮やかな紅葉に染まり、その後は七メートルほどの雪が積もる。雄大な自然を見渡す。

 長年、歩いて新潟に抜ける狭い峠道だった。現在、車が通れる約二十一キロの新たな道路を造っている。トンネル十五本と橋十七本で真っすぐにつなぐ。本格的に着工してから三十三年が過ぎ、工事は全体の八~九割で終わった。まだ通行できないが、最近は視察ツアーが催され、バスに乗り込み特別に立ち入れる。

 滝や渓流を一望できた道路は、開通までに雪崩の被害を防ぐ壁や屋根に覆われる。もちろん、車窓からの眺めは一変する。巨大な橋げたを建てる作業が、しばらく見学できる。完成後、日本有数の約百メートルの高さを誇る。ゆっくりながら日々、前進していく。

 視察の参加者から完成時期の質問が飛び出す。難工事が続き、見通しを立てられない。同行する国の担当者は、やんわりとかわす。隣にいた高齢の女性が「元気なうちに家族の車で来たいなあ」とこぼす。父祖の代からの悲願がかなう日を楽しみに待つ。

最終更新:9/5(木) 8:20
福島民報

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