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なぜ大谷翔平は苦悩しているのか?

9/6(金) 6:29配信

THE PAGE

 それまで3番が定位置だった大谷翔平(エンゼルス)の打順が、4日(日本時間5日)のアスレチックス戦で5番に下がった。
「少し苦しんでいるから、少しでも気楽に打てればと思って」とブラッド・オースマス監督。
 しかし、その試合で大谷は3打数、3三振。かえって状態が悪くなっているようにも映った。打撃練習でさえ空振りがあり、ケージから出ない打球も少なくなかった。


 その打撃練習前、大谷は40分以上も室内練習場にこもっている。珍しいと言えば珍しい。前日も実は、打撃練習の直前に小走りでセンターフェンスの裏にある室内ケージに向かうと、自分の順番が回ってくる直前まで打ち込み、打撃練習が終わると、再びセンターフェンスの向こう側へ消えた。

 これもレアケースだが、大谷は試合後にその理由を明かしている。

「見えている球を空振ったり、今日みたいに当たり損ねの打球になったり。今までの自分のスイングの感覚で振ってるのとズレがある」

 打撃練習後にもう一度室内ケージへ行ったのは、その確認?
「そうですね」

 3日(日本時間4日)の試合では、3打席目に16打席ぶりにヒットを放ったが、その打撃が今を象徴した。左翼線にフラフラと上がった打球がタイムリー二塁打になったものの、大谷は、「真ん中の真っ直ぐ。甘い球」と言ったあとで、浮かない顔になった。

「あれはやっぱりもうちょっといい打球を打たないといけない。もちろん、ピッチャーも動かして投げたりしてるんで、そういう結果もありますけど、もうちょっといい捉え方が出来たんじゃないかなと思ってます」

 もちろん、左翼線の打球は、イメージとかけ離れている。
「(イメージ通りで)あれだったら、ちょっと悲しい」
 大谷はそう言いながら、複雑な笑みをうかべた。

「スイングのズレ」をどう修正する?

 スイングのずれそのものは、打球方向に如実に現れる。とりわけ大谷はスイングの始動の時点で、打球方向までイメージして打つタイプだけに、本人が口にしたように、捉えたと思っても空振りをしたり、当たり損ねになったり、という結果そのものが、状態のバロメーターとなる。

 夏前にこんな話をしていた。打撃には例えば、「線で打つ」という技術がある。投手の球の軌道にバットの軌道を合わせることで、接点が多くなる。その場合、タイミングを変えることで広角に打ち分けられる利点がある。ただ、大谷の場合はどうか聞くと、「(相手投手の)左右によって軌道って違うんですけど、その軌道に合わせにいくとぶれてしまう」と説明した上で、続けた。

「(大切なのは)軌道に合わすというより、こういうふうに飛んでいくんだろうな、という軌道で(バットを)振れているかどうか」

 その感覚を説明するのは難しいようで、「なんて言うんですかね」と言葉を探しながらも、こう継いでいる。
「それはもう自分の感覚というか、こういう感じで、こう捉えにいっているときは、いいよな、悪いよな、というのがある」
 当然今は、後者のよう。

 では、どうスイングの軌道を修正していくのか。

 今のメジャーの流れなら、データ的なアプローチが考えられる。春のキャンプやマイナーリーグの取材に行くと、多くの選手が打撃練習のとき、グリップエンドに「ブラストモーション」というスイングの計測機器をつけている。それを使うことで、スイングスピードの他、スイングの軌道、入射角(アタックアングル)などが可視化出来る。例えば、遠くへ飛ばしたいのだとしたら、どんな入射角が適正なのか。問題があるのだとしたら、良いときのデータと比較して、それをたどることも可能だ。

 ただ、エンゼルスのジェレミー・リード打撃コーチに聞くと、「マイナーではブラストモーションを利用して、データ収集している」と話したものの、「メジャーでは使っていない」と教えてくれた。

「もう、このレベルに来ると、それを必要とする選手は限られる」

 大谷にも確認したが、スイングのずれそのものは、「映像を見たら分かる」とのこと。自分ではこう振っているつもりなのに、映像は異なるスイング軌道を映し出しているーー。

 もっとも問題は、別のところに潜む可能性がある。大谷は、「構えも含めて、その軌道がどういう動きからきてるのかをまず考えないと」と言ったあとで、補足した。

「その軌道に合わせて振るっていうところではなくて、正しい動作をしてその軌道に合う振り出しをしているのかどうか」
 軌道だけを見ていたら、本質を見失いかねない、ということか。

 もっとも根本の原因について、大谷は「ある程度分かっている」と話す。しかし、「分かっているのと、合わせることはまた違う」。

  5日(日本時間6日)、大谷の名前が、ラインナップになかった。
 相手アスレチックスの先発は左のブレット・アンダーソン。ただ、理由はそれだけではないのかもしれない。

 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)

最終更新:9/6(金) 10:05
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