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スタートアップが銀行口座を作れないのはマネロン対策が理由?実は昔から同じ

9/6(金) 18:23配信

THE PAGE

 スタートアップ企業が銀行に新規の口座開設を申し込んだところ、すべて断られてしまったという話がネットで話題になっています。設立間もない企業が銀行に口座を作れず、それが原因でビジネスを進められないという話は、実は今に始まったことではなく、20年以上も前から議論となっています。

 銀行が口座開設を拒否する場合、理由を開示しないことが多いのですが、SNSに投稿した人の話では、1行だけシェアオフィスに入居していることが原因であると説明してくれたそうです。

 起業家からすると、非常に理不尽な話ですが、シェアオフィスに入居している企業の口座開設を断る銀行は少なくありません(一部の銀行はシェアオフィス企業でも口座開設は可能であり、このあたりの判断は銀行によって違います)。その理由は、シェアオフィスの場合、入退去が簡単なので、口座の転売などを目的としたペーパーカンパニーが住所として利用しているケースがあり、銀行としてはその可能性を排除できないからです。銀行はマネーロンダリング対策の強化を監督官庁などから強く指導されていることもあり、どうしても新規の口座開設には慎重になりがちです。

 しかしながら、銀行が新規の口座開設に消極的なのは、マネロンが社会問題になる以前から変わっていません。日本では2000年前後に最初のネット起業ブームが起こりましたが、その時にも、開業資金を入金しようと銀行に口座開設を申し込んだところ、信用がないといって断られたという話はザラにありました。開業したばかりの零細企業では大きなお金が動かないことから、銀行にとってあまり魅力的ではないということも大きく影響しているようです。

 信用を構築するには取引実績が必要ですが、口座がなければ取引はできません。取引ができないと実績が作れないので口座が作れないという、意味不明な無限ループですが、これは生活に困窮した人が、家を追い出され、生活保護を申請したものの、住所不定の状態では生活保護を申請できないという話にも少し似ているかもしれません。

 昔ならいざ知らず、経営環境が極度に悪化している銀行にとって、新規に開業する企業は貴重な取引先です。近年はAI(人工知能)技術が発達していますから、口座を一定期間、追跡し、悪用を事前に防ぐ措置を講じることも技術的にはそれほど難しいことではありません。

 政府もベンチャー活性化や副業の推進などを政策として掲げている以上、新規の口座開設を制限するという安易な指導ではなく、現実に即した知恵のある対応が必要でしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:9/6(金) 18:23
THE PAGE

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