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中国人に大人気の日本の不動産爆買いアプリ。開発者は「中国で2度失敗した」元楽天役員

9/7(土) 8:00配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

スマホのカメラで周囲をスキャンすると、そのエリアで売りに出ている物件の建物名や部屋番号、価格が表示される ──。人工知能(AI)、拡張現実(AR)など先端技術を詰め込んだ「神居秒算」は、日本で物件購入を希望する中国人が最も使っている不動産プラットフォームだ。

【全画像をみる】新卒3年目で楽天役員に抜擢された中国人の10年後。挫折と出会いで到達した「自分にしかできないこと」

開発したNeoXの何書勉(ホウ・シュウメン)社長(41)は、楽天、グリーの中国進出を指揮し、2度その壁に跳ね返された。「もう中国はこりごり」と不動産投資企業に転じた彼だが、今度は中国企業に口説き落とされ、「3度目の正直」に挑んでいる。

「3億円出すから起業しろ」中国での出会い

2016年10月、何さんは北京の著名ビジネススクール長江商学院で、「ビッグデータの不動産ビジネスへの活用」をテーマに講義を行った。東京での何さんの講演を聞いていた中国人が、「中国でも話して」と声を掛けたのだ。

講義修了後、聴講していた学生から連絡が来た。VC(ベンチャーキャピタル)幹部を名乗るその人物は、何さんに「あなたの技術を中国で事業化するべきだ。うちが2000万元(3億2000万円)出す」と口説いた。

「中国でやるのは大変だと知っているから、すぐには返事できなかったのですが……」

知り合いのエンジニアたちに相談すると「絶対やるべきだ。一緒にやろう」と後押しされ、何さんは2017年2月、中国人に不動産情報を提供する「NeoX」を設立した。

31歳で執行役員に。だけど自信がない

上海生まれの何さんは18歳で来日。京都大学博士課程でコンピューターサイエンスを研究し、日本で就職した。

「中学校から日本語を勉強していたので、日本語が通用するかチャレンジしたかった。中国の大学を半年で中退して同志社に入学し、1年後に京都大学に入学し直しました」

修了後は世界的なIT企業で研究者になることを目指していたが、Googleに送るために用意していたレジュメを、教授が楽天の関係者に渡したことで、彼の進路はぐるりと方向を変えた。楽天技術研究所を立ち上げた同社は、高度IT人材を求め、大学の研究室にスカウトに来ていた。

「Googleより楽天の方が面白いんじゃないのって教授に言われて」何さんは2007年4月、29歳で楽天に入社した。

同年、楽天は台湾に合弁会社を設立し、海外に進出。以降、三木谷浩史会長兼社長の旗振りでグローバル化に一気に舵を切る。その流れも受けたのだろう。2009年5月、同社は若い社員を抜擢する「執行役員2.0制度」を導入し、入社3年目の何さんを執行役員に登用した。

楽天は2010年、英語を社内公用語にすると宣言したのに続き、10月にはバイドゥ(百度)との合弁事業として楽天市場の中国版「楽酷天」もオープンした。何さんは中国法人のCEOとして立ち上げを指揮し、本社では中国人やインド人の採用に駆り出された。

だが「楽酷天」はうまく行かず、オープンから2年も立たない2012年5月に事業を終了した。その時、何さんは既に楽天を去っていた。

「特段の実績を上げたわけでもない研究職の若者が、いきなり抜擢されたわけです。経験のなさから自分に自信が持てず、いろいろなことに翻弄されてしまいました」

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最終更新:9/7(土) 8:00
BUSINESS INSIDER JAPAN

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