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「薬の在庫がない」を避けるための 調剤薬局の賢い選び方

9/7(土) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

「大手チェーンの調剤薬局なのに在庫がないとはどういうことなのか」と憤るのは都内在住の40代会社員。

 先日の夕方、退社後に自宅近くの調剤薬局に立ち寄った時のこと。昼間にもらった病院の処方箋を薬剤師に渡すと、そこに記されている薬がないというのだ。

 取り寄せなければならないので、明日の昼以降に再訪してほしいという。

「診察後すぐ、病院前の門前薬局をのぞいたら、とても混んでいた。会社にも早く戻らなければならず、少しでも時間の節約になればと、帰りに別の薬局で薬を受け取ることにしたんですが、かえってロスになってしまいました」

 この会社員は結局、2日がかりでようやく薬を受け取ることができた。緊急性の高い病気ではなかったので、事なきを得たが、こうした事態はしばしば起こるという。街中にある地域薬局の店長は「在庫がないことによるトラブルは実は非常に多い」と話す。

「地域薬局は門前薬局よりすいている分、薬をスムーズに受け取れるというのがうたい文句。なのに在庫がないとは何事かと怒りだす患者さんは少なくありません。でも、保険診療に使われている薬は1万6000品目もある。チェーン店でも1店舗に置ける在庫は多くて1500品目にすぎませんから、どうしても頻度の高い薬を中心とした品揃えになってしまう」

■処方薬1万6000品に対し在庫はせいぜい…

 個人経営の店舗だと、さらに在庫は少なく、せいぜい1000品目。一方、門前薬局も街中のチェーン店と同じく1500品目前後だが、扱う病院の処方箋の傾向がわかっているので在庫切れのケースはほとんどない。

 価格でも門前薬局のほうが有利。調剤薬局で支払わなければならないのは薬そのものの金額(薬剤料)だけではない。明細書を見ると、薬剤料のほかに「調剤技術料」と「薬学管理料」の2つの項目がある。薬局のタイプによって一番差が出るのが調剤技術料に含まれる「調剤基本料」だ。

 患者の自己負担額(3割負担)は地域薬局123円、門前薬局75円、チェーンの門前薬局45~60円、病院敷地内薬局30円と細かく分かれている。もっとも安いのは病院が処方した場合の24円。ただ、近年は大半の病院が医薬分業に踏み切っているので、実際に院内処方を使えるケースはまれだ。

 在庫問題や価格面を考えると、門前薬局を選ぶのが賢明のようだが、駅や家の近くの地域薬局を利用するメリットはないのだろうか。「3年前にスタートした“かかりつけ薬剤師制度”は利用しやすい」と話すのは厚生労働省保険局関係者だ。

「患者が同意して、かかりつけ薬剤師を決めれば、毎回同じ薬剤師が服薬管理を行う。混雑している門前薬局では対応が難しく、地域薬局に向いている制度です」(厚生労働省保険局関係者)

 ただし、これも費用がかかる。通常よりも1回ごとの自己負担額が96円高くなるのだ。“ちりも積もれば”ではないが、薬局を頻繁に利用する患者にとっては決して小さくない額である。「この制度は患者さんにも薬剤師にも評判が悪い」と明かすのは前出の薬局店長。

「長時間、話し込む患者さんがいたりして、薬剤師の負担が増大。次第におざなりな対応になり、患者さんの満足度も急降下しているんです」

 現在、同制度の旗振り役を務めるのが自民党の小泉進次郎厚生労働部会長。「薬剤師をもっと活用」とアドバルーンを揚げるが、まるで絵に描いた餅。薬剤師は疲弊し、患者は高い薬代を払わされるという悪循環に陥っている。

(取材・文=田中幾太郎)

最終更新:9/7(土) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

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