ここから本文です

少し働き、宿泊無料…地域に溶け込む新しい旅スタイル

9/8(日) 7:00配信

産経新聞

 のどかな地方に滞在しながら地域の仕事を手伝い、夜は無料でゲストハウスなどに宿泊する。そんなユニークな旅スタイルが注目を集めている。旅行者向け求人サイトを運営する「SAGOJO(サゴジョー)」(東京)が今年6月、奈良県吉野町などでサービスを開始すると、2カ月先まで予約が埋まる盛況に。地域住民との交流も魅力で、新たな過疎対策にもなりそうだ。(桑島浩任)

 7月、吉野町にあるゲストハウス「三奇楼(さんきろう)」で、Tシャツ姿の女性が楽しげに、ふとんの片付けをしていた。従業員ではない。サゴジョーが提供する新サービス「TENJIKU(テンジク)」を利用し、吉野町を訪れた神奈川県在住のデザイナー、高野佑里さん(28)だ。

 「都会で仕事に追われる毎日から抜け出したい」とのどかな吉野町へ。地域行事の準備を手伝ったり、飲み会に参加したりし、2日間で30人近くの地元住民と知り合った。「普通の旅行ではできない地元の人との交流が最大の魅力」といい、デザイナーとしてのスキルを生かしてイベントポスターの製作を買って出るなど、充実した時間を過ごしたという。

 テンジクは、旅先で1日2~3時間程度の簡単な仕事をすれば、所定の宿泊施設に無料で泊まることができる仕組み。初回は5泊6日が上限だが、2回目からは1カ月まで可能で、滞在先は、奈良県吉野町▽京都府京丹後市▽山口県下関市▽和歌山県田辺市-の4カ所から選ぶ。行き先を決めてから、実際に訪れるまでにインターネットによるアンケートや面談があり、スムーズに地域に溶け込めるよう配慮されている。

 運営会社の新(しん)拓也代表(32)は「旅人が地域に貢献する仕組みを作りたかった」。着想を得たのは一昨年、吉野町への旅行がきっかけだったという。

 世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の霊場、吉野・大峯エリアを含み、荘厳で雄大な景色が魅力。一方で、大阪市内からは車で1時間強、電車で2時間足らずの好立地だ。「実際に土地を訪れ、人と関わることでしか得られない体験をしてもらうのに最適な場所」と確信したという。

 こうした体験が「愛着を感じた土地のために活動する『関係人口』を増やし、地域の活性化につながる」と新さんは説く。受け入れ側の吉野町も、こうした好循環を期待し、参加者に有意義な時間を過ごしてもらえるよう、住民と協力して多種多様な仕事を用意するなど、ひと味違う“旅行以上、移住未満”の滞在を後押ししている。町総合政策課の八釣(やつり)直己主査は「滞在中は吉野町の住民だと考えている。来てくれた人にもそう感じてもらえれば」と話している。

最終更新:9/8(日) 16:14
産経新聞

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事