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かつての4分の1 「閣僚ゼロ」最小派閥の石原派、入閣なるか 

9/9(月) 9:00配信

産経新聞

 11日の内閣改造・自民党役員人事を前に、党内最小派閥の石原派(近未来政治研究会、11人)が正念場を迎えている。7月の参院選では唯一の現職が落選して所属議員が1人減った。党内7派のうち唯一閣僚を出していないだけに、今回の人事でポストを獲得し、求心力の回復に努めたいところだ。

 「いろんな意見があっていい。しかし、まとめるときはまとめていく。この近未来(政治研究会)の伝統の下、憲法にしても秋の臨時国会での法案審議にしても、皆さんとともに力を合わせていい成果を出していこうではありませんか」

 派を率いる石原伸晃元幹事長は4日、長野県大町市で開いた派の夏期研修会でこう述べ、所属議員に結束を呼びかけた。

 大町市は、石原氏の叔父にあたる俳優・石原裕次郎のゆかりの地だ。主演を務めた映画「黒部の太陽」の舞台となった黒部ダムに通じる「大町トンネル」(全長5430メートル)の入口がある。

 研修会には、最高顧問の山崎拓元副総裁をはじめ、森山裕国対委員長ら8人が参加。慶応大法科大学院の山本龍彦教授(憲法学)を講師に招き、憲法改正などを議論した。研修会では、大町トンネルを通って黒部ダムを見学する予定も組まれ、参加者は、仲間が結束して北アルプスを貫いた往事の大事業に思いをはせた。

 研修会について、派の幹部は「少ない人数だが、今後も一致結束してやっていくと確認する場だ」と強調する。当日も、参加した議員より同行記者の数が多い逆転現象がみられ、派全体としての寂しさは隠しようがなかった。

 石原派は平成10年、山崎氏が所属していた旧渡辺派から独立して立ち上げた「山崎派」を前身とし、かつては甘利明選対委員長や林幹雄幹事長代理ら約40人が所属した時期もあった。しかし、山崎氏らへの反発から退会が相次ぎ、現在約4分の1にまで勢力を落としている。

 石原氏は昨年の党総裁選で安倍晋三首相への支持を表明したが、「反安倍」を鮮明にする山崎氏への配慮もあり、7派で最も遅い表明となった。昨年の党役員人事・内閣改造では、森山氏が国対委員長に再任され存在感を示したが、入閣は前回に続きゼロとなった。

 過去には二階派(志帥会、46人)や谷垣グループ(有隣会、約20人)などとの合流話が持ち上がったが、実現には至っていない。新たな入会者の話もなく、派閥の拡大に向けた見通しも立っていない。「一度は大派閥でやってみたいという気持ちはあるけれど…」と若手議員は吐露するが、「どこの派よりも居心地はいい」と魅力も語る。

 魅力の一つは、幹部と若手との距離の近さだろう。衆院当選10回の石原氏をはじめ、同16回の野田毅元自治相、同6回・参院当選1回の森山氏らベテランが名を連ねるが、11人のうち7人は衆院当選4回以下の中堅・若手だ。

 石原氏らは定期的に中堅・若手との意見交換を重ねている。若手は「大きな派閥では、領袖に名前も覚えられていないそうだが、われわれにそれはない」とアットホームな雰囲気を味わっている。

 人数が11人に減り、新たな船出となった今回の研修会。「何も心配することはないよ。山椒は小粒でぴりりと辛い。それでいいじゃないか」。派のベテランはこう笑うが、問題は党内で低下している存在感をどう回復するかだ。

 派内では、今回の人事で衆院当選6回の坂本哲志政調会長代理の入閣に期待をかけている。石原氏は安倍首相に直接働きかけを繰り返しているが、派閥会長として力量が試される場面を迎えている。

 映画「黒部の太陽」には、大規模な出水事故など数々のトラブルを克服しながら、「世紀の難工事」と言われたトンネルを完成させる様子が描かれている。派を取り巻く環境は厳しくなる一方だが、力を合わせて「入閣ゼロ」という暗いトンネルから脱し、光明を見いだすことができるか。(政治部 今仲信博)

最終更新:9/9(月) 9:00
産経新聞

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