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【その壁を越えていけ】「神ってる」から脱却 広島鈴木誠也の新たな境地

9/9(月) 10:00配信

日刊スポーツ

「神ってる」とかつて称賛された男が、クーラーボックスに入った水をぶちまけた。ターゲットは楽天からシーズン途中に加入した三好匠だ。8月20日のヤクルト戦。今季10度目のサヨナラ勝利に沸くマツダスタジアムで、広島鈴木誠也外野手(25)はお立ち台の三好を手荒く祝福した。通称、誠也シャワーと呼ばれる儀式で、移籍選手をさらにチームの輪に溶け込ませようとした。目に見えない壁を乗り越え、精神面で大きく成長した姿がそこにあった。

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16年、3戦連続決勝弾で全国区に

3年前、鈴木は全国的に注目を集めた。16年6月に3試合続けて決勝本塁打(2本サヨナラ弾)を放ち、緒方孝市監督は「神ってる」と表現した。大ブレークとともに、25年ぶりのリーグ制覇に貢献。シーズンオフには流行語大賞まで受賞した。しかし鈴木自身は当時、その言葉に葛藤を抱いていた。「“神ってる”って、どこかまぐれのように感じませんか? まだ実力じゃないみたいな。“神ってる”と言われないような選手になりたいと思います」。
明るいキャラクターが印象的だが、ストイックな性格も持ち合わせている。入団時から周囲が認める練習量をこなしてきた。グラウンドを離れても、歴代の強打者やメジャー打者の映像をチェック。打撃のイメージがひらめくと、夜中であってもバットを握った。ブレーク後も、その姿勢を失うことなく、リーグを代表する強打者の地位を確立した。

サヨナラアーチでも「神ってる」なし

今季、「神ってる」からの脱却を印象づけた試合がある。マツダスタジアムで行われた5月15日のヤクルト戦。5点を追う8回にヤクルト五十嵐亮太の初球144キロをバックスクリーンに突き刺した。4点差で迎えた9回には適時打で反撃ムードをさらに高めた。同点で迎えた延長10回裏に試合を決める放物線を再びセンターに描いた。鈴木のサヨナラアーチは、沈んでは浮上する不屈の広島を体現するものだった。
この試合後、「神ってる」の名付け親である緒方監督は「すごいの一言やね。さすがカープの4番」と最敬礼。もう「神ってる」と表現することはなかった。同世代で開幕直後は3番としてともに打線を引っ張った野間峻祥はあまりの勝負強さに舌を巻いた。「あいつとは生まれた星が違う。あれはもう“神”ですよ」。笑いながらも、その実力を素直に認めていた。

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最終更新:9/9(月) 15:20
日刊スポーツ

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