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フェード、ベーパーロック現象 暴走トラックの運転席で何が起きたのか

9/10(火) 5:01配信

神戸新聞NEXT

 神戸市灘区で8人が死傷した多重事故から10日で1週間。計5台と衝突し川に転落したトラックについて、兵庫県警はブレーキの利きが悪く、暴走したとの見方を強めている。現場一帯は急な下り坂が続いていることから、ブレーキの使い過ぎで利きが悪くなる「フェード現象」や「ベーパーロック現象」が起きた可能性があるとみて調べている。(堀内達成)

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 運転手の男性(57)=福岡県=は、熊本の会社から荷物を届ける途中だったといい、初めの衝突現場まで約4キロにわたる急な下り坂を下っていた。地理に不慣れだったことから、ブレーキを多用した可能性があるという。

 ブレーキ多用による制御困難の一つに、フェード現象がある。ブレーキパッドが高温になって摩擦力が減り、ブレーキの利きが悪くなる。日本自動車連盟(JAF)兵庫支部=神戸市灘区=によると、サイドブレーキを下ろし忘れたまま走行したことで、フェード現象になるケースもあるという。

 さらにブレーキをかけ続けると生じるのがベーパーロックだ。ブレーキの使い過ぎによる摩擦熱で、ブレーキオイルが沸騰し気泡が発生。ブレーキをかけた圧力を気泡が吸収してしまい、利きが極端に悪くなる。

 神戸市北区の男性(50)は以前、神奈川県と静岡県にまたがる箱根山の山道を20分ほど下っていたところ、突然、ブレーキペダルを踏み込んでも反発がない状態に陥った。減速できないままカーブに進入し、必死の思いで曲がり切った。「むちゃくちゃ焦った。あれがベーパーロックでしょう」と振り返る。

 同支部は二つの現象を回避する方法として、エンジンブレーキを使う▽ブレーキオイルを車検時に交換する-を挙げる。また、ブレーキ付近が高温になり湯気や臭いが出ていることに気付いた場合、30分以上は停車して冷やすことを推奨。早く冷却するために水をかける行為は、金属の変形や亀裂を招く恐れがあるという。

■ブレーキ不能、雨の日も注意

 ブレーキが利かなくなる現象は、雨の日も注意が必要だ。ブレーキパッドとブレーキディスクの間に水膜ができ、瞬間的に制動力が低下することがあるからだ。

 神戸市西区の男性(37)は15年ほど前、同区内で乗用車を運転中、信号で止まろうとした際に1秒ほどブレーキが利かなかった。直前に深い水たまりを通ったという。ペダルを踏み続けると元に戻ったが「もし前に車が止まっていたらと思うとぞっとした」と話した。

 専門学校のトヨタ神戸自動車大学校(同区)によると、この現象は「ウオーターフェード」と呼ばれる。冠水した道路を走ったり雨の中を長時間運転したりすることでまれに起きる。制動力の低下はすぐに回復するという。

 雨が降っている時はスピードを落とし、早めのブレーキを心掛けることが大切だという。(堀内達成)

最終更新:9/10(火) 12:28
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