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見た目問題、「感動ポルノ」と言われても報じる理由 顔がゆがんで生まれた長男、伝えたい「顔には慣れる」

9/12(木) 7:00配信

withnews

アルビノや顔の変形、アザ、マヒ……。外見に症状がある人たちがジロジロ見られ、学校や就職、恋愛に苦労する見た目問題。朝日新聞の岩井建樹記者は、これまで20人を超える当事者を取材し、今夏に著書「この顔と生きるということ」を出版しました。「記事は感動ポルノでは?」「当事者とどう接すればいいのか?」。こうした反響や問いとも向き合いながら、見た目問題を報じ続ける思いをつづりました。

【写真特集】変形した顔・あざ・アルビノ・小人症……岩井記者の長男も 「見た目問題」の当事者たち

きっかけは長男の誕生

私が見た目問題に関心を持った大きなきっかけは、長男の誕生です。

2010年6月、生まれたばかりの長男の顔をのぞき込み、「あれ、何か変だ」と違和感を覚えました。私が知っている赤ちゃんの泣き顔とは違っていたからです。口元がゆがんでいました。「表情筋の不形成」。右顔の筋肉や神経が少ないため、口角をうまく動かせず、笑ったり泣いたりするときに表情が左右非対称になります。右目はまばたきができないため、弱視になる恐れがあるとのことでした。

「笑顔は大事」

そんな誰もが疑わない価値観がある社会のなかで、笑った表情をうまくつくれない長男は幸せになることはできるのか……。そんな不安が私に押し寄せました。同時に、親として、そしてジャーナリストとして、ある思いがわき上がりました。「長男と同じように、外見に症状がある人たちが具体的にどのような困難に直面し、その現実にどのように対処しているのか、知りたい」。そんな思いで取材を始めました。

報じ続ける意義とは…「顔には慣れる」

取材を通し、私が実感したのは「顔には慣れる」ことです。

顔が大きく変形している当事者と初めて会ったとき、私は驚き、目のやり場に困りました。ただ、30分も話していると、違和感は薄まり、話の内容を聞き取ることに集中していました。取材が終わるころには、何も感じなくなり、ごくごく普通に接していました。

そう、顔には慣れます。確かに、最初は特徴のある外見に戸惑うかもしれません。でも、慣れてくると、人はビジュアルだけで他人を見なくなります。そうなれば、違和感も薄まり、話す内容や雰囲気、内面などトータルな人間性に目が行くようになると思います。

私が外見に症状がある人たちを報じる意義は、ここにあると考えています。

私の記事を通し、いろんな見た目の人がいることを知って、慣れてほしい。見た目問題は、LGBTなど他のマイノリティーの問題と比べれば、まだまだ知られていません。メディアで取り上げられることも限られるなかで、私は粘り強く報じ続けたいと考えています。

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最終更新:9/12(木) 17:24
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