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大企業の退職金3000万円は過去のもの。同期入社でも大きな差、もはや老後の支えにはならない

9/10(火) 8:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

金融庁の報告書によって大きな不安を巻き起こした「老後2000万円問題」。

公的年金だけだと30年間で生活費は約2000万円不足する、という内容が「政府のスタンスと異なる」として、麻生太郎金融担当大臣は報告書の受け取りを拒否したが、8月27日公表の「将来の公的年金の財政見通し」(財政検証)でも、残念ながら内容は真実だと示された。

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想定以上に年金は減る

政府は経済成長などを前提に6つのケースで将来の所得代替率(現役世代の平均給与に占める年金支給額の割合)を試算。2019年度の夫婦計の年金額は22万円、所得代替率は61.7%になっているが、専門家が比較的妥当と推定する5番目のケース(実質経済成長率0.0%)では2044年度に50%を割り込み、2058年には44.5%に下がる。

しかもこのケースは実質賃金が毎年0.8%ずつ上がり続け、女性や高齢者も働き続けるという前提だ。しかし、景気拡大期といわれる2013年から2018年の間で実質賃金がプラスだったのは2016年と2018年しかない。2019年も1月から7月まで7カ月連続マイナスとなっている。このままでは想定以上に年金額が減り、年金だけで生活できないのは明らかだ。

実は政府が公的年金の老後生活の補完として秘かに期待しているのが定年後の退職金だ。実際にサラリーマンの中にも退職金や企業年金を当てにしている人もいるかもしれない。ところが、その退職金にしても年々減り続けていく可能性が高いのだ。

余裕ある老後には夫婦で年500万必要

平均退職給付額(大学・大学院卒)は1997年の3203万円から2017年は1997万円まで落ち込んでいる(厚生労働省「就労条件総合調査」)。比較的大企業が多い経団連の加盟企業の調査でも、総合職・大学卒(勤続年数38年)の2010年の60歳定年時の平均退職金は2443万円。

毎年少しずつ減少し、2018年は2256万円に下がっている。

1990年代から2000年初頭は大企業の定年退職金は3000万円が相場と言われ、公的年金と合わせて、老後は比較的余裕のある生活を送っている人も多い。一例を紹介しよう。

現在70歳のサトウ氏(仮名)は大卒後の1973年に従業員1万人規模の中堅電機メーカーに就職。人事畑を歩み、最後は人事部長を経て、2011年に60歳で退職した。退職金は3500万円だった。

一般的に退職金は「退職一時金」と老後の年金として受け取れる「退職年金(企業年金)」で構成される。サトウ氏の退職一時金は1900万円、企業年金分が1600万円である。退職一時金は退職時に一括で受け取る。企業年金分も一括で受け取ることも可能だが、サトウ氏は毎月年金で受け取ることにした。

1900万円の中から700万円を会社融資の住宅ローンの残りの返済に充て、1200万円を貯蓄に回した。さて現在の収入は企業年金の毎月の受取額は12万円、公的年金は専業主婦だった妻との合計で28万円。計40万円。年収480万円になる。やはり大きいのは退職金の一部である企業年金だ。

これだけの収入があると、老後生活も楽しい。年金制度に詳しいファイナンシャルプランナーは、「老後に年間500万円あれば、年に1回、近場の海外旅行ができますし、ヨーロッパ、アメリカ旅行が2~3年に1回、春と秋の国内旅行も楽しめる。孫のお年玉やお祝い事のプレゼントなど良い格好もとれます」と語る。

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最終更新:9/10(火) 17:01
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