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<MGC 陸上記者のレース展望>終盤の急坂を駆け上がるのは誰か 本命は男子・井上、女子・鈴木

9/10(火) 22:00配信

毎日新聞

 ◇東京本社運動部・小林悠太

 普段の国内レースと異なり、MGCで求められることは「暑さ対策」「ペースメーカー不在による駆け引き」「37キロ付近から高低差30メートル超の上り坂」の3点をいかに克服できるか。ただ、突然の悪天候になれば冷え込む可能性もあり、気温は不確定要素となる。終盤の上り坂で誰が強いかという点を中心に予想する。

 男子の本命に井上大仁(26)=MHPS=を推したい。ペースメーカーのいない昨夏のジャカルタ・アジア大会で日本勢32年ぶりの金メダルを獲得し、勝負強さを見せつけた。原点に地元の上り坂がある。

 昨年10月中旬、長崎県諫早市内の実家を訪ね、父正文さんに井上が中学時代、毎朝、自主練習した急坂を案内してもらった。海に近い切り立った長崎特有の地形を持つ場所で、新聞配達などで1時間以上走った上、歩くのもつらい急坂を約3キロひたすら駆け上がった。鍛えられたバネで終盤の急坂にも対応できるはずだ。

 上り坂の強さでは、箱根駅伝を沸かせてきた「山の神」も忘れてはいけない。順大出身の今井正人(35)=トヨタ自動車九州=と、青学大出身の神野大地(26)=セルソース=だ。神野は「坂に関しては自分にプラス。大逆転もある」と自信を見せる。純粋な走力では、大迫傑(28)=ナイキ=や設楽悠太(27)=Honda=らが上だが、一発選考ならではの逆転劇もありそうだ。

 女子は混戦が予想されるが、鈴木亜由子(27)=日本郵政グループ=が軸となりそうだ。故障が多いが、万全の状態で臨めれば、優位と予想する。鈴木を脅かす存在としては、持久戦の末に上り坂で脚が動く粘り強さを持つ選手を挙げたい。

 関根花観(23)=同=は練習量の多さが魅力だ。休日に2~3時間のランニングが日課で、寮から約20キロ離れた実家に走って帰り、家族を驚かせたことがある。食事量も多く、夏でも食欲が落ちない。2016年リオデジャネイロ五輪後は調子が安定しないが、「7割」で臨んだ18年3月の名古屋ウィメンズで初マラソン日本歴代4位の記録を出した実績もある。

 前田穂南(23)はマラソンで毎回のように五輪代表を輩出してきた名門・天満屋のホープだ。関根同様に練習量と食事量が多い。また、武冨豊監督のピークを合わせる能力は高い。本番に仕上げてくれば、終盤の坂にも自信を持って挑める。

 岩出玲亜は所属のアンダーアーマーのジムを活用してウエートトレーニングに取り組み、脚の筋力がある。10代からマラソンを始め、24歳にしてMGCが9度目のマラソンと経験豊富で、終盤へ向けたスタミナ配分に強みを持つ。

 MGCには実業団駅伝の取材で縁のある選手が多く出場する。プレッシャーのかかる運命のレースで、全員が力を出し切れることを祈りたい。

 ◇小林悠太

 毎日新聞東京本社運動部。1983年、埼玉県生まれ。2006年入社。甲府支局、西部運動課を経て、16年から東京本社運動部。リオデジャネイロ五輪を現地取材した。バドミントン、陸上、バレーボールなどを担当。学生時代、184センチの身長を生かそうとバレーに熱中。幼稚園児の長男、次男とバレーのパスをするのが目下の夢。

最終更新:9/10(火) 22:00
毎日新聞

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