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木下昌輝の歴史を操る時代小説イノベーション!『戦国十二刻』インタビュー

9/10(火) 16:00配信

本がすき。

歴史時代小説の旗手、木下昌輝氏の『戦国十二刻 始まりのとき』が発売されました。前作『戦国十二刻 終わりのとき』に続く、戦国の世の一日を切り取った大胆で斬新な物語です。この二作にも通ずる、歴史小説への挑戦について、熱く語っていただきました。

ーーー本日は『戦国十二刻 終りのとき』『戦国十二刻 始まりのとき』についてお聞きします。まず『終りのとき』ですが、発想の原点は何だったのでしょう?

木下 もともとは、『人魚ノ肉』の「竜馬ノ夢」で、竜馬が死ぬときに「人魚の肉を食べた」と告白するシチュエーションが、個人的にすごく気に入っていたので、ああいうのを戦国時代でもやりたいなと。終わりがわかっているからこそ面白いというか。そういう結末がわかったドラマをやりたいなと思ったのが最初ですね。それで打ち合わせをしていたら、時間を一週間とか一日とか区切ったほうが面白いのではないかと言われて、じゃあ、一日でやってみようかなと。

ーーー取り上げる人物は、どのように決めたのでしょう。

木下 結構、適当ですね(笑)。最初に思いついたのが豊臣秀頼かな。ちょっと順番は覚えていませんけど、やっていって半分ぐらいきたら、みんな死んでいる話ばかりで、『終わりのとき』みたいなアイデアが出てきた。最初は『戦国24時 さいごの刻』という題名だったので、『幕末24時』とか『南北朝24時』とか、できたらいいなと思った。まだその頃は僕もキャリアがなかったので、いろいろ練習というか、稽古というか、自分が不得意なところもやろうかなと。足利義輝とか全然知らなかったし。そういうのに挑戦しようと思って、人選をやっていった感じですね。

ーーーこの作品で自分の世界を広げようという意識があった。

木下 どれぐらい変化球ができるか、どれぐらい攻めても大丈夫なのか。例えば、「さいごの一日」って、徳川家康が幽霊の自分と会話する。それがどこまで受け入れてもらえるか。そういうのを実験するような場所かなと、勝手に思ってやっています。

ーーー二冊を読んで強く感じるのですが、木下さんは、歴史に対するフレームと同時に、物語のフレームも意識しているんじゃないかと思うんですよ。

木下 フレームというのは、枠組みということですか。

ーーーそうですね。歴史小説は歴史を切り取った枠組みがあるわけですが、一日という切り取りにより、さらに物語のフレームを作ったというイメージがあります。

木下 枠組みというか、切り口ですね。信長をどういう方向から見るかによって、いくらでも物語が作れるので、そういうのはすごく気にしています。もともと僕は建築学科卒業で、例えば、「博物館を建てろ」と言われたら、ただ建てるわけじゃなくて、どういう切り口でやるかによってデザインが変わる。僕の切り口のやり方は、史実の空白にどういうフィクションを入れるかというので、そこで幽霊を出したり、人魚の肉を出したり、いろいろやっています。結局、切り口のつけ方が歴史作家の個性なので。

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最終更新:9/10(火) 16:00
本がすき。

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