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小林亜星が語る現代の音楽シーン「もう人類の音楽のネタが尽きたのかな」:インタビュー

9/10(火) 7:05配信

MusicVoice

 音楽家の小林亜星(87)が8月7日、アルバム『小んなうた 亞んなうた ~小林亜星 楽曲全集~』を発売した。CMソングをはじめ、演歌・歌謡曲、アニメ、童謡、子どもの歌など幅広いジャンルの楽曲をCD4タイトルにわたり網羅。インタビューでは、都はるみの「北の宿から」など数々のヒット曲を産み落としてきた小林に作曲家としての心得や、ヒット曲の方程式を聞いた。「今の音楽理論では革新的な音楽は難しい、さらに流行というもの自体がなくなってしまった」と話す小林の音楽人生に迫る。【取材=村上順一/撮影=冨田味我】

美空ひばりは1世紀に1人いるかいないか

――8月7日に、これまでの楽曲をまとめたアルバム『小んなうた 亞んなうた ~小林亜星 楽曲全集~』シリーズがリリースされましたが、現在どのようなお気持ちですか。

 改めて曲を聴いてみたら感慨深いものはありましたけど、照れ臭いんですよね。改めて毎日よくこんなにたくさん作ってきたなと思いまして、忘れてた曲も1、2曲ありましたから(笑)。

――特に思い入れがある曲はありますか。

 そういうのはないんですよ。自分の子どもたちみたいな感覚なので、曲に対しての優劣もないですから。

――小林さんが最初に作った曲はどんなものだったのでしょうか。

 初めて作曲したのは高校3年生の時でしたね。同じ学年に冨田勲さんと林光さんもいたんですよ。学園祭の時に先生に「曲を作ってこい」と言われて作ったんです。それで味をしめて(笑)。でも、まだその時は作曲家になるなんて考えてもいなかったですけど。

――すごい学校ですね! では作曲家を目指したきっかけはなんだったのでしょうか。

 僕は親の意向もあって、大学で医学部に通っていたんだけど、医者にはなりたくなかった。それが嫌でしょうがなくて、作曲家になったんです。他にやりたい事があったというよりは、音楽は嫌な事から逃げ出すためのものだったんです。

――そうだったんですね、意外でした。さて、歌謡曲を収めた『歌謡曲編』に収録された曲で、歌手が歌うことで小林さんの想像を超えてきた楽曲はありましたか。

 「北の宿から」は(都)はるみちゃんが力を入れて歌ってくれたこともあり、自分が描いていたものを超えてきたので感動しましたね。

――美空ひばりさんはいかがでしたか。

 山田耕筰先生が亡くなる時に「ひばりさんに自分の曲を歌って欲しかった」と話していたんだけど、それでひばりさんが山田耕筰先生の曲を歌うことになった時に、私がアレンジを頼まれたの覚えています。曲もその時に作ったのかなあ…。そこはうろ覚えなんですけど、歌を聴いた時に、ひばりさんのようなすごい歌手はいないと思いました。キーが決められないんですよ。

――キーが決められない?

 歌える音域が広いから、低いキーでも高いキーでも、どこで歌っても全部良いんです。だから、どこのキーに設定しようかこちらが迷ってしまう(笑)。1番と2番が同じメロディでも、歌詞によって全然違う感じにも聴こえるんです。こんな人が世の中にいるんだなとビックリしましたから。世界中探してもあまりいないと思いますよ。1世紀に1人いるかいないかというレベルです。

 シアトルとサンフランシスコのアメリカ公演に一緒に行った時には、ネルソン・リドルのバンドをバックにひばりさんが歌ったんですけど、その人達が「今度ヨーロッパでツアーがあるんだけど、美空ひばりを連れていきたい」と話していたくらい。でも、ひばりさんのお母さんが「それはダメ」と、断っちゃったんですけどね(笑)。

――あと、松坂慶子さんが歌唱されている「赤い靴はいてた淫らな娘」が印象的でした。

 すごいタイトルの曲ですよね(笑)。良い役者さんは歌が上手いことが多いんですよ。

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最終更新:9/10(火) 7:08
MusicVoice

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