ここから本文です

「検閲」から「表現の自由」のシンボルに。あいちトリエンナーレの作家たちが、立ち上がった。

9/10(火) 12:26配信

BuzzFeed Japan

愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」。テロ予告などを理由に中止になった「表現の不自由展・その後」をめぐり、トリエンナーレに出展するアーティストたち35組(9月10日現在)が展示の再開を求め、「ReFreedom_Aichi」プロジェクトをはじめる。【BuzzFeed Japan/籏智 広太・千葉雄登】

【写真】中止された「表現の不自由展」の会場

閉鎖された不自由展会場の壁などを使った参加型のプロジェクトなどを実施するといい、資金はクラウドファウンディングで募っていく。

こうした動きが出るのは、一連の問題が起きてから初めてだ。いったい、彼ら彼女らはどういう思いを持っているのか。BuzzFeed News は、4人のメンバーを取材した。

まず、経緯を振り返る

そもそも、8月1日に開幕したあいちトリエンナーレの企画展「表現の不自由 展・その後」は、全国各地で展示が中止になったり、展示に圧力を受けたりした 作品を集め、日本における表現の自由について問題提起するために企画されたもの。

なかでも第二次世界大戦中の慰安婦被害者を再現した「平和の少女像」や、昭和天皇の写真をコラージュした作品を燃やす映像に、抗議が殺到した。

展示内容については、大阪府知事の吉村洋文氏や大阪市長の松井一郎氏をはじめとする複数の政治家も、不快感を表明。

また、菅義偉官房長官が会見で文化庁の補助金について「精査したい」と言及し、共催している名古屋市の河村たかし市長が、愛知県の大村秀章知事に中止を要望した。

その後も抗議は拡大。8月2日朝には愛知県知事宛てに、「ガソリン携行缶をもってお邪魔します」というテロ予告のFAXが届いた。こうしたことから、「円滑・安全な運営の担保ができない」などの理由で、3日目で同展の中止が決定された。

「ReFreedom_Aichi」

その後、展示を中止に追いやった「テロ予告と脅迫」「政治家の介入」、そして中止の判断そのものに対し、参加する83のアーティストたちが抗議声明を発表。

海外アーティストらが中心となり、自らの作品の公開を一部中止したり、内容を改変したりする(たとえば、作品を不自由展をめぐる新聞記事で包み込むなど)という「展示ボイコット」の動きが広がった。

こうした流れを受け、日本人アーティストが中心となり始めたのが「ReFreedom_Aichi」だ。トリエンナーレに出展している計35組(9月10日現在)のアーティストが参加する。

現在閉鎖されている全ての展示の再開に向けアーティストが連携する目的があるが、それだけではない。ステートメントでは、観客と協働することで「知る権利と見る権利を取り戻す」と宣言した。

「クローズにされた展覧会の扉がもう一度開くということは、世界でも類を見ないこと。あいちトリエンナーレを検閲のシンボルから表現の自由のシンボルに置き換えることできる。アートシーンに残すインパクトは大きい」

そうBuzzFeed Newsの取材に語るのは、不自由展に参加しているアーティスト集団「Chim↑Pom」のメンバーで「ReFreedom_Aichi」メンバーの一人でもある卯城竜太さんだ。

「75年前の日本には言論の自由がありませんでした。当時は自分の考えや表現、自ら言葉で生きるということができず、ひとつの考え方を生き方として強要されていた。考えて、表現することの自由が、社会にとって一番必要なこと。だからこそ、その権利を取り戻さないといけないんです」

「また、今回の展示中止は我々アーティストではなく、観客の見る権利、知る権利が犯されていることが一番の問題だとも思っています。作品を見ない限りは、観客が自分でその作品について考えることもできない。ネット上に流れてくる表層的とも言えない、勘違いされた情報に左右されるだけになってしまいます」

1/5ページ

最終更新:9/10(火) 12:46
BuzzFeed Japan

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事