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米リセッション、すでに激戦区で鮮明に-トランプ氏再選に赤信号点灯

9/10(火) 8:23配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 「真っ赤なうそだ。大統領はそれを承知だ」。米ウィスコンシン州で農機メーカー、クーン・ノース・アメリカの工場を経営するグレッグ・ペトラス氏は不満を隠さない。中国との貿易戦争はクーンにコスト上昇と売り上げ減少というダブルパンチを浴びせた。関税のコストは中国が負担していると、大統領が話すのを運転中にラジオのニュースで聞くたびに、ペトラス氏はハンドルを拳でたたき、「なぜそんなことを国民に言うのだ」と声を上げるのだという。

約600人を雇っているクーンでは、250人程度がレーバーデーの祝日を挟んで2週間の自宅待機扱いとなった。自宅待機は10月初めにも予定されている。夏の社員ピクニックは中止せずに済んだが、週末シフトは廃止。設備稼働率は50%に落ちた。研究開発(R&D)用の新施設建設は棚上げとなった。

米経済がリセッション(景気後退)に向かっているかどうかの議論は活発だ。だが、ペトラス氏とクーンの社員らを取り巻く経済の一角では、すでにリセッション入りを示す兆候がたくさんある。米国の製造業では不確実性の高まりと設備投資の抑制、輸出の不振、ドル高、関税による仕入れコストの上昇で、状況は1年前より悪くなった。米供給管理協会(ISM)が3日発表した8月の製造業総合景況指数は、市場の予想外に低下し3年ぶりに活動縮小を示した。

トランプ政権最初の2年には、製造業の雇用が大幅に拡大したが、これも地域によっては反転している。6日発表された8月の雇用統計によれば、製造業の雇用者は全米で年初から4万4000人増加したが、前年同期の17万人増からからは著しくペースが落ちた。シンクタンクのエコノミック・イノベーション・グループのデータによれば、ウィスコンシンやペンシルベニアなど大統領選の鍵を握るとされる州を含む22州では、製造業の雇用者が1-7月に減少した。

貿易政策や減税、規制緩和で製造業を国内に戻すとしたトランプ大統領の公約と、この状況は一致しない。北米自由貿易協定(NAFTA)など通商協定見直しや中国に仕掛けた貿易戦争、一連の関税発動は、トランプ氏の「米国第一主義」のかけ声のもと、米経済を代表するセクターを復興させるはずだった。

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最終更新:9/10(火) 8:23
Bloomberg

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