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日本の技術の「誠実さ」「粘り」…そして今後の課題

9/11(水) 6:50配信

ニッポン放送

「報道部畑中デスクの独り言」(第148回)

ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は、各自動車会社が開発するモノづくりの「誠実さ」について—

日本の実験棟「きぼう」がNASAの厳しい基準に、技術で誠実に応えたという話を前回の小欄でお伝えしました。思えば、日本にはこうした誠実さを感じさせるモノづくりや、諸外国がハードルの高さにさじを投げた技術を、日本が持ち前の粘りでモノにしたケースが少なくありません。

まずはホンダ(本田技研工業)が開発した「CVCC」。大気汚染が世界的に社会問題化するなか、1970年にアメリカが通称「マスキー法」なる法律を制定しました。正式には「大気浄化法改正法」、当時の上院議員だったエドムンド・マスキー氏の提案によることから、このような通称がつけられました。

内容は、1975年以降に製造する自動車の排出ガス中の一酸化炭素、炭化水素の量を1970~1971年型の10分の1以下にするという厳しいもので、アメリカの当時のビッグ3(GM・フォード・クライスラー)の反発もあり、法律そのものは紆余曲折をたどりました。

しかし、その規制を世界でいち早くクリアしたのが、日本のホンダでした。「CVCC」と呼ばれるエンジンは、低い濃度の燃料(混合気と呼ばれます)で燃焼することによって、有害物質を低減するシステムでした。しかし、濃度が低すぎると不完全燃焼により、逆に有害物質が増えてしまいます。その困難を、副燃焼室をつくることによって解決したのです。

当時は画期的な技術とされ、ホンダのブランドを大いに高めました。ホンダはF1などのスポーティなイメージも強いのですが、環境問題にいち早く挑んだメーカーでもあるのです。数年前、ホンダの幹部と話したとき、「ウチは安全と環境なのだ」と強調していたことを思い出します。

以前小欄でもお伝えした、マツダのロータリーエンジンもまたしかりです。ピストンの往復によって出力を生み出すレシプロエンジンと違い、おむすび型のローターが回転することで出力を得るのが、ロータリーエンジン。もともとはドイツの技術でしたが、自動車用として実用化にこぎつけたのは日本のマツダでした。

詳しくは他の文献に譲りますが、このエンジンは様々な困難に直面しました。最大のものは、技術者の間で「悪魔の爪痕」と呼ばれた「チャターマーク」なるもの。ローターの「おむすび」の3つの頂点には、「アペックスシール」というエンジンの気密性を保つ部品があるのですが、ローターが高速回転する際に、それがローターを覆うハウジングの内壁にひっかき傷をつくってしまうのです。

ハウジングが傷で摩耗しては、エンジンの耐久性は保てません。しかし、マツダはこのアペックスシールの素材や構造を、新設計することで克服しました。その素材はアルミニウム合金のカーボン複合素材というものでしたが、開発段階ではそれは何でも…牛の骨までも試されたそうです。

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最終更新:9/11(水) 6:50
ニッポン放送

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