ここから本文です

ショット面は「5000万円稼いでいてもおかしくない」“初シード確実”高橋彩華の成績向上をもたらしたポイントは?【辻にぃ見聞】

9/11(水) 15:02配信

ゴルフ情報ALBA.Net

イ・ミニョン(韓国)の今季2勝目で幕を閉じた、先週の「ゴルフ5レディス」。その大会でも、黄金世代が優勝争いに絡み、最後まで大会を盛り上げた。それが2位タイの淺井咲希と、4位の高橋彩華だ。今回は、初優勝こそ逃したものの、この大会で初の賞金シード入りを確実なものにした高橋に注目し、上田桃子らのコーチを務める辻村明志氏に話を聞いた。

小林浩美会長もカラフルウェア【大会LIVEフォト】

■スイング時の“トップ位置”が改善
昨年のファイナルQTで28位となり、今季のレギュラー前半戦出場資格を得た高橋。第1回リランキングを10位で突破すると、ゴルフ5レディスの4位で360万円を獲得し、今季の通算賞金額は約2296万円に。これで賞金シードの目安となる、昨年のランキング50位(約2222万円、大城さつき)の額を突破し、初のシード入りをほぼ確実なものとした。

数字だけみると順調なシーズンに思えるが、開幕後の9試合は、6試合連続を含む8度の予選落ち。「去年の半ばから今年の開幕後は、パターの時に手が動かず悩みました。今思い出しても、泣いてしまうほどでした」という不振を経験した。だがその後立て直し、6月の「ニチレイレディス」ではプレーオフで鈴木愛に敗れ2位に終わったものの、初優勝を期待させる戦いをみせた。

この変化の理由は一体何なのか? 辻村氏は、まずショット面で、こんな部分を挙げた。「ボールに対するクラブの入射角にバラつきがなくなりました。軽いインサイドインのスイングで、球際はほぼストレート軌道に入っていますね」。状態がよくない時には、「ヘッドが寝て入ったり、かぶって入ったりとバラつきがあった」と辻村氏は指摘。しかし、そこに大きな改善が見られるようになった。

では、なぜそれが可能になったのか? 辻村氏が挙げたポイントが、“トップでのシャフト位置”だ。

「悪い時は、トップでシャフトがクロスに入っていました。それがかなり改善され、今はターゲットラインに対してほぼスクエア。以前よりも少しコンパクトに決まり、ダウンスイングの入り方も一定になっています。フェース面も、45度ほどのキレイなスクエアフェースが保たれていますね」

もともとドローヒッターの高橋だが、調子が悪い時は、インパクト時に無理に手で合わせにいってしまい、その結果、球が上がらず、さらに左に曲がりすぎるという傾向が見受けられたと辻村氏は説明。しかし、今は「トップでしっかりとヘッドの位置を感じ、その重みを生かしながら、ダウンスイングができています。球際の再現性が高いから、適正なスピン量をボールに入れることもできています」。こうしてショット面に安定感が生まれている。

■ショット面では「5000万円を稼いでいてもおかしくない」選手
高橋のショット面のスタッツはこうだ。ドライビングディスタンス順位とフェアウェイキープ率順位を合算した値の『トータルドライビング』は16位。さらに、トータルドライビング順位とパーオン率順位を合算した値の『ボールストライキング』は7位と上位につける。「アイアンはそもそもうまい」という辻村氏の言葉にもあるように、パーオン率は6位につける。「この6位という順位は、本当にすごいものだと思う」と辻村氏も感心。ドライバーをフェアウェイに置き、そこから精度の高いアイアンでグリーンに乗せる。これぞショットメーカーという組み立てで、成績を残しつつある。

辻村氏は、そのアイアンのうまさの理由についてもこう説明する。「スイング時、シャフトとヘッドが立った状態をキープしています。『ヘッドが大きく回った方が飛ぶ』というイメージを持っている人も多いかもしれませんが、より高い位置にあるほうが重力を使えるため、振り落とす速度が増してアイアンのキレが生まれます。これもトップがクロスに入っていかなくなったことが大きい。クロスになっていると、どうしてもダウンスイング時にヘッドが遠回りして、鋭く振り落とすことができないですからね」。

最近の高橋を会場で見かけた時、辻村氏の目には「表情や歩き姿勢を見ても、気力が高まっているのが分かりますね。ゴルフが楽しそうですし、練習中もやるべきことが見つかったことがうかがえます」と、自信に満ちているように映るという。「ショット面のスタッツでいうと、すでに5000万円は稼いでいてもおかしくないです」。こう太鼓判を押す。

■ショートゲームの克服など… あとは「来年にどうつなげるか」
高橋自身も語るように、大きな問題はパットにあった。実際に平均パット数をみると、パーオンホールが70位(1.8585)、1ラウンド当たりが97位(31.0000)と、ショット面に比べ大きく見劣りがする。

復調の兆しを見せた5月の「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」(13位タイ)で話を聞いた時、「ずっとパットの時に手が動かなかったんですけど、(握りを)クロウグリップにしたら、それが改善されて。こんなに普通に動くのは久しぶりです」と明るい表情を見せていた。そして、そこから快進撃が始まっていることをみても、それがどれほどの苦しみだったかは、想像に難くない。

さらに、ゴルフ5の最終日を終えた時には「厳しいパーパットもしっかりと決めることができていたし、さらにパットへの自信が戻ってきました」と話していた。ここに加え、62位の『リカバリー率』や、82位の『サンドセーブ率』といったショートゲーム面の向上が見られれば、悲願の初優勝は大きく近づくはずだ。

「シード入りも確実になり、これからは安心していろいろなことに取り組めることでしょう。1勝目を目指して、今年ベストを尽くすことももちろん大事ですが、来年に向けての準備もすすめて、どうつなげられるか。そこにも注目したいですね」。高橋のもう一段レベルアップした姿を見ることを、辻村氏は期待する。

解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、山村彩恵、松森彩夏、永井花奈、小祝さくらなどを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。

(撮影:岩本芳弘)<ゴルフ情報ALBA.Net>

最終更新:9/12(木) 9:26
ゴルフ情報ALBA.Net

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事