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工藤会トップ逮捕から5年で“勢力半減” 元組員「離脱に勇気を」 壊滅のカギは“就労支援” 福岡県

9/11(水) 21:35配信

TNCテレビ西日本

特定危険指定暴力団・工藤会のトップが逮捕された、いわゆる「頂上作戦」から11日で丸5年です。

本部事務所の売却に向けた交渉が進むなど、弱体化する組織内部では何が起きているのか。

元組員がTNCの取材に応じました。

【工藤会傘下組織の元組員】
「薬を扱ったこともありましたし、『金が取れんけん、ちょっとこのお金取ってきてくれんか』と言われて取りに行ったこともあったし。
 『返せ』と脅すくらいしかない」

暴力団の資金集めの実態について、カメラの前でこう明かす男性。

北九州を拠点にする工藤会の傘下組織の元・組員です。

働き口がなく、知人の紹介で裏社会へ。

“警察とも真っ向から対立する”工藤会の一員として10年以上活動し、覚醒剤の売買では月に100万円を超える稼ぎがあったといいます。

【工藤会傘下組織の元組員】
「100~120万くらい。一番いいときは自分で稼ぎよった」
Q・組への上納金は?
「おれは大体10万円くらい」

この当時、一般市民に対する襲撃事件も続発。

工藤会への恐怖心がピークに達するなか、潮目が変わったのはちょうど5年前のことでした。

2014年9月11日ー
「工藤会のトップ・野村総裁の自宅に、警察が強制捜査に入ります」

福岡県警による2014年の工藤会頂上作戦。

捜査が難航していた元漁業組合長の射殺事件で、トップの野村悟(のむら・さとる)総裁やナンバーツーの田上不美男(たのうえ・ふみお)会長らが一斉に逮捕され、工藤会内部にかつてない衝撃と動揺が広がりました。

【工藤会傘下組織の元組員】
「あわただしくなった。本部に毎日詰めないといけなくなって。
 びっくりした。
 盗聴(通信傍受)されているのを考えず、通話がきっかけ(で逮捕)と聞いたので、そういうのを気をつける人(野村総裁)だったので。
 『これからどうなるんかね』という話が多くなった。
 (頂上作戦以降)上層部の人が『これでどんどん離れていくんじゃないか』とこぼしたことがあった。
 その人ももうやめている。その人は役職を持っていた」

連帯意識が強く「鉄の結束」とも言われた工藤会でしたが、構成員の数は2008年のピーク時に比べ310人と半数以下に減少。

今回TNCの取材を受けた元組員の男性自身も、覚醒剤所持の疑いで逮捕されたことをきっかけに工藤会を離脱しました。

【工藤会傘下組織の元組員】
「薬を売る場の空気が、おれは嫌でした。
 自分が車を走らせているときも、(警察がいないか)いつも後ろが気になる。
 そういう不安な毎日をずっと過ごすのが嫌でした。
 (離脱して)よかったと思いますよ。生活に何の不安もないです。
 (現在)人に使われて建設業していますが、独立して自分で仕事を受けてできるようになりたい」

工藤会トップらを逮捕した頂上作戦以降、福岡県警は14件の未解決重要事件で、工藤会関係者らを逮捕。

県警の幹部は、捜査の進展をこう振り返ります。

【福岡県警 暴力団対策部 尾上芳信 部長】
「トップに対する“恐怖の呪縛”から解放され、1人1人が口を割って供述するようになった。
 私自身ここまで工藤会が減少するとは思っていなかった。
 国の暴力団対策法の改正や、福岡県の暴排条例で、今では組員が家を借りられない・口座も開設できない・暴力団を続けていくことができない・という考え方をする組員が多くなった」

工藤会を離脱した元組員を、“二度と裏社会に戻してはならない”。

そんな思いから、元組員を2年前から雇っている水道工事会社が福岡県内にあります。

【元組員を雇う 水道工事会社 会長】
「無遅刻、無欠勤、素直によく働きます。
 本人も『拾ってもらって良かった』と常々言っているようだ。
 働いてうまい酒も飲める。普通の一般的な生活を味わえるのが楽しみじゃないか」

工藤会系の元組員の就労支援をめぐっては、福岡県内の約350社が受け入れを表明しています。

この5年間で20人以上の元組員が新しい職に就いていて、県警は今後も“捜査”と“就労支援”の両輪が、工藤会壊滅のカギだとしています。

【福岡県警 暴力団対策部 尾上芳信 部長】
「未解決重要事件をこれからも徹底的に、一つでも多く検挙していく。
 今後も1人でも多くの組員が社会復帰を果たして、福岡県が安全安心な街になるということを願って尽力していきたい」

工藤会を離脱し、いまは建設作業員として働く男性。

工藤会包囲網が狭まるなか、神経をすり減らす生活を送る現役の組員へ向け、こうメッセージを残しました。

【工藤会傘下組織の元組員】
「(離脱に)1歩・・1歩だけ踏み出す勇気を持ってくれたら、絶対遅いということはないと思う。
 今からでも、いくつになっても悩んでるんだったら1歩踏み出してほしい。
 そこからまたスタートになる」


~参考~
▼頂上作戦の成果
 組員310人に減少。
 頂上作戦以降、福岡県内にある工藤会系の組事務所17カ所を撤去。
▼捜査進展の背景
 トップが捕まり、内部者がどんどん口を割る。
 頂上作戦以降、14件の未解決重要事件で工藤会関係者を逮捕。
▼2019年の動き
 工藤会の象徴「工藤会会館」売却の話。
▼2019年工藤会の動きの注目ポイント
 10月、4つの襲撃事件における野村・田上両被告の初公判

テレビ西日本

最終更新:9/12(木) 13:27
TNCテレビ西日本

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