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観光客を呼べなかった「静岡のお茶」が、若い女性を引き付けている理由

9/11(水) 8:00配信

ITmedia ビジネスオンライン

 「ウチの地域には観光客を集めるものなんてないよ」。他の地域のレジャー施設や景勝地を横目に、そう思っている人もいるのではないだろうか。しかし、日常として地域に根付いてきたものを観光資源として活用できる、そんな可能性があるかもしれない。

【カラフルな3種類を食べ比べ「お茶のかき氷」】

 静岡市などを含む静岡県中部地域では、生産量日本一の「お茶」が、“インスタ映え”するアイテムとして若い女性客などを引き付けつつある。その一例が、静岡のお茶を使ったかき氷を期間限定で販売する「茶氷プロジェクト」。初開催の2018年は、3カ月間で3万杯以上を販売した。この成功を足掛かりに取り組みの幅が広がっている。

 なぜ今、知名度が高い「お茶」をあらためて観光資源に育てようとしているのか。取り組みを推進する公益財団法人するが企画観光局と、現地の事業者に話を聞いた。

日本一のお茶が“観光”につながっていない

 「伊豆や浜松、富士山のような強い個性がないんです」。するが企画観光局の八木将彦さんは硬い表情で話す。それは、同局が管轄する静岡県中部地域の現状だ。

 するが企画観光局は、静岡市、島田市、焼津市、藤枝市、牧之原市、吉田町、川根本町の5市2町で、観光誘客に関する市場調査や戦略立案を行うDMO(観光地経営組織)。17年に静岡観光コンベンション協会から名称を変更し、新たな観光コンテンツの企画やプロモーション活動に着手した。

 観光誘客という課題に取り組むときに考えたのが、地域としての一番の“武器”。観光地としては地味なこの地域にも、「お茶の一大生産地である」という大きな特徴があるからだ。しかし、お茶という産業を“観光”に結び付ける動きはこれまでほとんどなかった。

 「観光で人を呼ぼう、という意識が薄く、生産地なのにお茶を“楽しめる場所”がない。もっとお茶に興味を持ってもらうためにも、地域一体となった情報発信が必要なのです」と八木さんは話す。

 その背景には、観光誘客という課題だけでなく、お茶という産業そのものを取り巻く環境の厳しさもある。

 お茶産業を取り巻く厳しさは、需要の変化という形で表れている。2000年代に入ってペットボトルのお茶が一般的になり、「お茶をよく飲んでいる」という人も多いだろう。実際、ペットボトルなどの容器に入った「緑茶飲料」への支出額は増加してきた。

 しかし、一方で「茶葉」の需要は縮小傾向にある。緑茶飲料がよく飲まれるようになり、急須でお茶を入れることが減ったからだ。緑茶飲料は少ない量の茶葉で作ることができる。茶葉の需要が縮小すると単価が低下し、生産者の仕事は厳しくなる。生産者の高齢化も加わり、廃業や耕作放棄というケースも増えているという。

 「お茶で観光客を呼ぶ」という取り組みは、地域の産業を変える試みにもつながる。地域の特徴を見直し、そこから時代に合った新しい魅力を生み出す可能性を秘めているのだ。

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最終更新:9/11(水) 8:00
ITmedia ビジネスオンライン

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