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老いた親が熟年離婚・再婚…その時に子供が備えるべきこととは

9/11(水) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

【老親の悩み 米山隆一が全部応えます】

 最近、「結婚した3組に1組は離婚している」という言葉をよく聞きます。離婚が増えているという印象を持っている方も多いと思いますが、実はピークは2002年。恐らく景気の影響で、近年の離婚件数・離婚率は減少傾向にあります。

 現在65歳となった世代で、一度結婚した人が生涯に離婚する割合である累積離婚率はおおむね20%。基本的には20~30代で離婚し、50代以降の離婚はまれです。現在、有配偶者1000人当たりの年間離婚者数は20~24歳で50人程度で、30~34歳で14人と3分の1に減り、65歳以降は1人弱に激減します。「熟年離婚」は思われているほど多くありません。

 しかし、それでも70歳以上の離婚数は、ここ10年でおおむね2倍に増えています。1000人に1人弱は多いとはいえませんが、70~75歳の方が交通事故を含めた不慮の事故で亡くなる死亡率が同程度ですので、自分の親が熟年離婚することについて、一定の心積もりは必要です。家族として長い時間を過ごした後の親の離婚は、大人になった子にとってもショックですが、その年になっての離婚原因の多くは、積年の性格の不一致か、積年の異性関係です。離婚を望む側の決意が固ければ、子の説得で押しとどめるのは極めて困難といえます。

 熟年離婚に1つ良いことがあるとすれば、離婚時の財産分与についてはほぼ無税となることです。子としてできることは、やがてはそれぞれの親を別々に老老介護する状況も考慮して、適切に財産分与をしてもらうように側面支援し、可能な限り、それぞれの親と円満な関係を維持することに尽きると思います。

 子にとって熟年離婚以上に悩ましいのが、熟年再婚です。65~69歳における離婚・死別後の再婚率は年1000人当たり男性5人、女性2人と、意外と少なくありません。

 熟年再婚についても、親には親の人生がある以上は、子として言えることはさしてなく、親自らの幸福のために、親自ら決断してもらうしかありません。

■ドラマ顔負けの「争族」となることも

 ただし、ここでも問題となるのは介護と相続です。以前この連載で書いたように、配偶者への相続は非常に保護されているので、仮に自分の親が先に死んでしまった場合は、多くの場合は子どもたちにとっては「他人」である新しい配偶者が、そのまま家に住み続けます。それで良ければいいのですが、親子2世代、3世代で住んでいる場合などに、必ずしも双方が快適でなく、混乱を生じることもあります。

 また、場合によっては子どもたちにとっては「他人」である新たな配偶者の介護を余儀なくされることもあります。

 さらに、親子で事業をやっており、親が会社の株式の大半を所有している場合などは、親の死後に株式の半数を相続した新しい配偶者が突如会社の経営に参入し、ドラマ顔負けの「争族」となることもあります。親が熟年再婚を言いだしたら、決断は本人次第として、親夫婦の介護と、家や事業についての相続だけは、事前に話し合って、一定の手を打っておくべきだと思います。

 さて、私は男女同権論者で、この連載もその点には注意して書いています。とはいえ、熟年離婚・再婚では、恐縮ながら、功成り名を遂げ財を成した男性が、糟糠の妻と別れて若い女性と再婚する例が少なくないことは、事実として否定できないものと思いますし、実際そういう例を複数見てきました。

 しかし、その状況では子どもはほぼ全員が母につき、父は家族の敵となって追放され、数年はいいものの、介護が必要な年となるや新たな配偶者は老老介護をするには若過ぎ、あまり幸せそうに見えない晩年を送ることもまれではないように見受けられます。

 親もしくは自身で熟年離婚・再婚をお考えの方は、諸事よく考えられて、と思います。余計なお世話で恐縮です。

(米山隆一/前新潟県知事・医師・弁護士)

最終更新:9/11(水) 11:53
日刊ゲンダイDIGITAL

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