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温暖化対策と食料対策の両立には土地利用が鍵 干ばつなどで穀物価格、最大23%上昇とIPCC

9/11(水) 12:02配信

サイエンスポータル

 地球温暖化に伴う干ばつなどの影響により2050年には穀物価格が最大23%上がる恐れがある―。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が予測をまとめた特別報告書を8月初旬に公表した。温暖化により食料不足や飢餓のリスクが高まることを具体的なデータで示したとして国内外で注目されている。

 これまでIPCCをはじめとしてさまざまな国際機関の報告書が、温暖化による異常気象は食料生産に打撃を与える一方、無計画な森林伐採や農地開拓は温暖化を加速させると指摘してきた。今回の特別報告書は温暖化対策を考える上で世界各国の土地利用の在り方が極めて大切であることを物語っている。

 今回公表された特別報告書のタイトルはずばり「Climate Change and Land(気候変動と土地)」。日本を含む世界52カ国の100人以上の専門家がさまざまなデータを分析、解析してまとめた。そして8月2~7日までスイス・ジュネーブで開催されたIPCC第50回総会で承認された。

 特別報告書はまず、「土地は人間の生活と福祉の基盤」と位置付けて、人間は世界の陸地表面の70%以上に何らかの影響を与えており、土地は気候システムに重要な役割を担っている、と明記した。そして、産業革命以降の陸地の平均気温は、陸と海を含む地球全体の平均気温の2倍近いペースで上昇している、と指摘。気候変動は食料安全保障や陸の生態系に悪影響を及ぼし、世界の多くの地域で砂漠化や土地の劣化をもたらしたと警告している。

 乾燥地帯では砂漠化などの影響で作物や家畜の生産性が下がる。特別報告書は水不足や干ばつの影響を受ける地域の人の数は今後増加し、その人数は、「今世紀末に気温が1.5度上昇(産業革命前比)の場合」は2050年までに1億7800万人に、「2度上昇(同)の場合」は2億2000万人に上ると推計した。

温室効果ガスの全排出量の約23%は土地利用による

 二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量に土地利用がどの程度関与しているかについては、これまで一般的にはあまり知られていなかった。特別報告書によると、2007年から2016年までに排出された温室効果ガスの全排出量のうち、農業や林業の土地利用による排出が占める割合は約23%、つまり4分1近くに相当すると分析している。ガスの種別にみるとCO2の約13%、メタンの約44%、一酸化二窒素(N2O)の約82%が土地利用によるものだという。この報告書はこうしたデータを示しながら農地などの管理手法を持続可能な形に改善することにより排出量は大幅に減らせる余地があると強調している。

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最終更新:9/11(水) 12:02
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