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4社に1社が「無借金企業」、比率トップは高知県

9/11(水) 15:01配信

東京商工リサーチ

全国の「無借金企業」8万4000社調査

 東京商工リサーチの保有する2018年(1‐12月期)以降の約34万社の財務データで、借入金のない「無借金企業」は全国で8万3978社(構成比24.4%)あることがわかった。
 無借金経営は収益力やビジネスモデルの評価でもある。不況や金融機関による「貸し渋り」や「貸し剥がし」を経て、企業は現預金が非常時の安全弁という認識を強めた反面、生産や事業の拡大局面では借入金が必要なシーンもある。
 地区別で、無借金企業の比率(以下、無借金率)トップは九州(無借金率28.0%)だったが、四国、中国、近畿も無借金率が高く、「西高東低」が顕著に表れた。一方で、最低は中部(同21.0%)で、堅実経営が多いとみられていた中京圏の意外な側面も浮かび上がった。
 県別では、高知県(同31.6%)が全国トップ。逆に、最低は長野県(同17.1%)だった。
 産業別では、サービス業他が全体の45.8%と無借金企業の約半分を占めた。また、金融・保険業、情報通信業など、第3次産業で無借金率が高かった。一方、設備投資や不動産投資など事業資金の需要が活発な製造業、不動産業は無借金率が低かった。
 無借金企業の売上高トップは郵政民営化で発足した日本郵便、利益トップは東京エレクトロンなど、売上高、利益の上位企業は各業界を代表する大手企業が顔をそろえた。  

※ 本調査は東京商工リサーチが保有する財務データ(約34万社)のうち、貸借対照表の長短借入金、社債の項目がゼロの企業を「無借金企業」と定義し、抽出した。対象は2018年(1-12月期)以降の財務データ取得企業。

◇無借金率は全国平均24.4%、地区別では九州がトップ
 東京商工リサーチの保有する約34万社の財務データから、無借金企業は8万3978社だった。全体の無借金率は24.4%で、4社に1社が金融機関等からの借入金がゼロだった。
 地区別の無借金企業数は、最多が関東の2万5713社(構成比30.6%)で、3割を占めた。次いで、九州が1万3410社(同15.9%)、近畿1万1998社(同14.2%)、中部8425社(同10.0%)と続き、最も少なかったのは北陸の2691社(同3.2%)だった。
 各地区の企業数(保有財務データ企業)を母数として算出した無借金率は、トップが九州の28.0%だった。以下、四国27.9%、中国25.9%、近畿25.3%など、西日本地区が上位に並び「西高東低」の実態が浮かび上がった。一方、無借金率が最も低かったのは中部の21.0%だった。
 九州と中部は、無借金率で6.9ポイントの開きがあった。九州は佐賀県(無借金率31.2%、全国2位)をはじめ、沖縄県(同30.7%、同3位)、長崎県(同29.8%、同6位)、宮崎県(同28.7%、同8位)など、8県すべてが全国平均の無借金率24.4%を上回った。
 一方、中部は全国で最も低かった長野県(無借金率17.1%、全国47位)のほか、静岡県(同19.2%、同44位)、三重県(同20.0%、同42位)など下位ランクの県が多く、5県すべてが全国平均を下回り、九州と好対照となった。

◇都道府県別の最多は東京都
 都道府県別の無借金企業は、最多が東京都の1万82社(構成比12.0%)。2位の大阪府5411社(同6.4%)の約2倍に達した。以下、3位は北海道4319社(同5.1%)、4位福岡県4101社(同4.8%)、5位埼玉県3844社(同4.5%)と、大都市を抱える都道府県が上位に並んだ。
  
◇無借金率トップは高知県の31.6%、西日本の県が上位
 無借金率のトップは、高知県(31.6%)で、全国平均(24.4%)を大きく上回った。蓄財に頓着せず豪放磊落の県民性とされるが、無借金率は全国トップ。工業統計調査(経済産業省)によると、高知県は製造品出荷額が全国で2番目に少ない。資金需要が旺盛な製造業の比率が低く、建設業も公共工事が中心で「前受金などを利用して自己資金で回せる業者が多い」(地元建設関係者)との指摘もある。以下、2位佐賀県(31.2%)、3位沖縄県(30.7%)、4位島根県(30.6%)、5位徳島県(30.4%)までが無借金率30%を上回った。
 無借金率の最低は長野県の17.14%だった。都道府県別の赤字法人率(国税庁発表)で5年連続ワースト2位という情勢に加え、サービス業も宿泊業やスキー場など装置産業が多く、資金需要が旺盛な点なども要因として考えられる。以下、46位山梨県(17.19%)、45位茨城県(17.8%)、44位静岡県(19.2%)、43位群馬県(19.5%)までが無借金率20%を下回った。

◇意外と低い中京圏の無借金率
 地区別は、最も無借金率が低かった中部に低順位の県が集まった。堅実経営の代名詞である「名古屋式経営」、他地域より低いとされる「名古屋金利」で知られる中京圏が含まれるが、無借金率では愛知県が31位(23.6%)、岐阜県が35位(22.4%)、三重県が42位(20.0%)といずれも全国平均を下回った。
 データは若干古いが、東京商工リサーチが調査した全国27万社の都道府県別財務データ分析(2015年3月調査)でも、中京3県は有利子負債構成率順(中央値)で愛知県が13位、岐阜県が14位、三重県が12位と高位に位置する。経営環境の変化や自動車産業など、設備投資を要する製造業が集積し、低金利が逆に借入を促している可能性もある。いずれにしても「無借金企業=中京圏に多い」という既成概念はデータ上では実証されなかった。

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最終更新:9/11(水) 15:01
東京商工リサーチ

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