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元組員の口座開設、戸惑う銀行 組抜け確認「情報少なく限界」

9/11(水) 11:13配信

西日本新聞

 西日本新聞が行った九州の金融機関へのアンケートでは、「元暴5年条項」の有無にかかわらず、多くの銀行が「元組員の口座開設の判断に必要な離脱に関する情報が少ない」と戸惑う実態が明らかになった。警察に照会しても断片的な情報しか得られず、口座の悪用リスクが少しでもあれば拒否する傾向にあるという。「口座開設が壁となり社会復帰を阻害してはいけない」-。東京では、弁護士が元組員の口座開設に同行する支援が始まった。識者は「更生の観点から柔軟な運用が必要」と訴える。

 「元組員かどうかを知るには、銀行の情報力だけでは限界がある」。5年条項を導入する九州北部の地方銀行担当者は嘆く。別の地銀担当者も「離脱後も暴力団関係者と付き合いが続くことがあり、口座開設は慎重になる」と明かす。

 複数の銀行関係者によると、口座開設の申し込みがあれば、データベースと照合し、ヒットすれば地元の警察に照会する。回答は「該当あり」「なし」だけ。「なし」だと「当行の情報が間違いなのか、離脱済みか、離脱はいつか、何も分からない」(ある行員)。

 開設段階では、民法の「契約自由の原則」で拒否できる。ただ、開設後の強制解約には訴訟リスクも伴い、開設判断を厳格化しているという。九州南部の地銀担当者は「離脱後5年経過が確認できても、過去に逮捕された事件内容から断ることがある」と話す。

 こうしたリスク回避の観点から複数の地銀担当者は口座開設に「離脱日や就労状況など公的な証明が欲しい」と当局の“お墨付き”を求める。警察関係者からも「重要な課題」と理解を示す声はある。ただ、「再び暴力団に戻る可能性は排除できず、公的証明は難しい」(福岡県警幹部)。警察庁も「各銀行の判断」との立場だ。

 東京の三つの弁護士会は合同で昨年4月、元組員の口座開設に同行する取り組みを始めた。離脱後の経過年数にかかわらず、暴力団追放運動推進都民センターは「協力雇用主」で一定期間働いたことを条件に雇用証明書を発行。弁護士と元組員が一緒に銀行を訪れ、証明書を提出し開設を働き掛ける。

 まだ実績はないが、「口座がないと就職もできずに再び暴力団に戻る悪循環に陥る懸念がある」(関係者)と支援を続ける。プロジェクトチーム座長の青木知巳弁護士(東京弁護士会)は「更生した人には離脱後の期間にこだわらず口座開設を後押しする仕組みが必要。偽装離脱対策で、銀行が口座を解約しやすくするよう国が指針を出すことも有効だ」と強調した。 (森亮輔)

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最終更新:9/11(水) 11:13
西日本新聞

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