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ロスターでも戦術でもチームバランスを欠いたアメリカ代表、早期敗退を招いたミス

9/12(木) 7:35配信

バスケット・カウント

スモールラインナップ用の選手が足りない選手編成

文=神高尚 写真=FIBA.com


バスケワールドカップのクォーターファイナル、優勝候補筆頭のアメリカ代表は79-89でフランスに敗れました。

大会前から苦戦が予想されていたとはいえ、バスケットボールの主役であるアメリカの敗退は寂しいもの。名将グレッグ・ポポビッチに率いられながらチーム力で完敗する結果は、個々の力で劣る相手には球際の強さを生かして勝てたものの、同じくNBAプレイヤーを揃えるフランスが相手となると、今大会のアメリカが抱えていた問題が浮き彫りになりました。

最大の問題はインサイドの弱さ。3人のセンターをロスターに入れながらもマイルズ・ターナー以外はプレータイムが短く、スモールラインナップを好んで使いました。それでも日本のような相手では身体能力の高さで不利を感じさせなかったものの、ルディ・ゴベアのいるフランス相手には通じず、リバウンド数で44-28と完敗しました。

現在のNBAでスモールラインナップは当たり前に使われる戦術であり、高さだけではリバウンドは取れない時代になっていますが、それはあくまでも『スモールラインナップに適した選手』がいて成立する戦術です。辞退者続出により自由に選手を選べなかったポポビッチではありますが、そもそも最終合宿に呼んだ選手でスモールラインナップに適したビッグマンはPJ・タッカーとマービン・バグリー三世の2人だけでした。

大会前からポポビッチがスモールラインナップを描いていたのであれば、ビッグマン役に慣れているフォワードを手厚くしておくべきでした。2人のセンターをほとんど起用せず、所属チームでビッグマン役を経験していない選手にゴベアをマークさせたのは選手選考の失敗です。

それでもマーカス・スマートやハリソン・バーンズが身体を張ってゴベアを抑えるシーンはあったものの、ヘルプに出るようなことは難しく、フランスがピック&ロールからのドライブをしてくると対応できませんでした。ギリシャ戦では同じような形でヤニス・アンテトクンポを抑えれば済みましたが、フランスはチームとして上回ってきたのです。



緊迫した場面でエースプレーヤーが見せた迷い

オフェンス面も個人技での突破ばかりでチームとしての機能性がありませんでした。しかし、この点は大会が進むにつれて改善され、フランス戦では一つの答えにたどり着いた印象がありました。それはオフェンスのスタートをドノバン・ミッチェルに託し、ディフェンスを崩す役割をエースが担い、ここで作られたディフェンスのギャップを周囲の選手が狙う形です。

29得点を挙げたミッチェルを中心としたフランス戦でのオフェンスは、大会初戦とは段違いの機能性を発揮しました。ただし、それはギリシャ戦くらいから始まった形であり、まだまだ連携が深まっているとは言い難いもの。ファーストラウンドからこの形を取り入れていれば結果は違ったかもしれませんが、所属チームではエース的な役割を担っている選手たちにミッチェルのサポート役は簡単ではなかったのでしょう。

セルティックスのスマートとジェイレン・ブラウンはポジションこそ所属チームとは異なるものの、エースの動きに合わせてるプレーはいつもと変わらないため、ミッチェルとプレーすることで空いたスペースを上手く使うことができました。

それに対してシュート力が売りのクリス・ミドルトンは最後までタッチをつかめず、フィールドゴール成功率は38%に留まりました。このチームでどうプレーすべきか迷いがありました。ケンバ・ウォーカーもパスを受けてのキャッチ&シュートが少なく、所属チームでエース的な選手であればあるほど『パスの受け手』としては機能しませんでした。

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最終更新:9/12(木) 7:40
バスケット・カウント

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