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東電原発事故強制起訴裁判 迫る判決 結果回避義務

9/12(木) 10:02配信

福島民報

■指定弁護士 対策すれば防げた

■被告側   想定超える大津波

 東京電力福島第一原発事故をめぐり、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣の被告三人は「想定外の津波で、対策を採っていても事故は防げなかった」と法廷で責任を否定し続けた。過失の立証には、三人に予見できた損害を回避する「結果回避義務」があったかどうかが重要になる。検察官役の指定弁護士は、対策を講じていれば事故は防げたとみており、「対策が終わるまでは原子炉の運転を止めるべきだった」と主張する。

 二〇〇八(平成二十)年に新潟県中越沖地震対策センターで原発の耐震性をチェックしていた東電元幹部は「津波対策に膨大な費用がかかることが分かり、収支が悪化するため対処を見送った」と震災後、検察による聴取に答えていた。

 この内容が記された供述調書は二〇一二年から二〇一四年に検察がまとめ、公判で指定弁護士によって読み上げられた。

 調書によると、二〇〇八年春の社内会議で東電は津波対策を行う方針を決めたが、大規模な工事は地元の不安を招き運転停止を求められるとの懸念から経営判断を優先したとしている。

 同年六月、原発敷地南側に最大一五・七メートルの津波が襲うとする試算の報告を受けていた武藤栄元副社長(69)は、その翌月、対策を保留し、試算手法が妥当かどうかの検証を土木学会に依頼する判断を下した。「機関決定に必要な情報を集めるため」との理由だったが、震災までに検証結果が出ることはなかった。

 当時、土木担当部署で津波対策に関わっていた東電社員は、武藤元副社長の判断に「津波対策の工事をする方針だと認識していた。予想外で力が抜けた」と証言し、指定弁護士も「対応の先送りだ」と厳しく追及した。指定弁護士は事故を未然に防ぐために防潮堤の設置や建屋の水密化といった措置を講じなかったのは注意義務違反に当たるとした。

 しかし、武藤元副社長の弁護側は、震災当時の津波は敷地東側から全面に押し寄せたと強調した。「敷地南側に到達する」としていた試算を基に対策を採ったとしても事故は防げず、結果回避義務はなかったと反論している。

 地震の専門家や東電関係者の証言は対立する。島崎邦彦東大名誉教授は「長期評価に基づく対策を採っていれば事故を防げた」と推定する。一方で、東電の原発設備を管理していた担当者は「津波は(対策を講じていても)想定を超える規模だった」と述べた。

最終更新:9/12(木) 10:05
福島民報

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