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はやぶさ2の快挙支えた神戸大教授 ガラスビーズで何度も実験「最後は祈るだけだった」

9/12(木) 12:48配信

神戸新聞NEXT

 地球から遠く離れた小惑星・りゅうぐうで、日本の探査機「はやぶさ2」が成し遂げた快挙は記憶に新しい。金属弾を衝突させて人工クレーターをつくり、内部の新鮮な物質を採取する挑戦に世界で初めて成功。その様子を観察したり、分析したりする役割を担ったのが、天体衝突に詳しい神戸大の荒川政彦教授(54)だ。想定外のことも多く「これまでの常識が覆された」と振り返る荒川教授は現在、クレーターをつくった際のデータ解析に全力を挙げている。(霍見真一郎)

【写真】はやぶさ2が小惑星りゅうぐうの表面につくったクレーターの画像

 荒川教授は宇宙航空研究開発機構(JAXA)から求められ、科学主任研究者として今回のプロジェクトに参加した。

 JAXAによると、はやぶさ2は2014年に打ち上げられ、18年6月に地球から約3億キロ離れたりゅうぐう上空に到着。今年2月、表面の試料を採取する最初の着陸に成功した。

 4月5日には重さ約2キロの銅の弾丸を撃ち込んで人工クレーターをつくり、太陽光にさらされていない物質を地下から噴出させる実験にも挑戦。飛び散った岩などが探査機を傷つける危険もある最難関のミッションを、見事にやり遂げた。7月11日には2回目の着陸も実施し、試料を採取した。

 「りゅうぐう上空に到着直後は、表面を覆う岩が多く、人工クレーターができないのではないかと考えた」と荒川教授。そこで急きょ、大小さまざまなガラスビーズを岩に見立て、鉄製やアルミ製など5種類の球体をぶつけて模擬的にクレーターをつくる実験を計50回以上実施。「(弾丸が)岩にさえ当たらず地面を直撃すれば、数メートルの穴ができる可能性がある」と分かり、チームに伝えた。

 しかし、りゅうぐうの地下は隙間が多く、スカスカの構造であることも分かった。このため「ふかふかな粉の塊に指を突っ込んだように穴が開くだけで、物質が放出されないかもしれない」との思いは拭えず、「最後は祈るだけだった」という。

 そんな懸念は最初に送られてきた画像で霧散した。放出物が高さ数十メートルにも飛び散る様子を、自らも開発に携わった小型分離カメラが捉えていた。その後、はやぶさ2が接近して撮影した画像では、直径10メートル以上の半円形の人工クレーターができていた。

 荒川教授は「常識と異なる現象が起こりうるということを、自然から教わった。何事もやってみなきゃ分からない」と話す。今はフランスやスイスの研究者らと共同で画像を含む各種データの解析を進めており、結果は論文にまとめる。

 はやぶさ2は今年11~12月にりゅうぐうを離れ、来年末に地球に帰還する予定。

【はやぶさ2】世界で初めて小惑星から岩石を採取し、地球に届けることに成功した探査機はやぶさの後継機。大きさは縦1・25メートル、横1メートル、奥行き1・6メートル。地球と火星の公転軌道の近くを回っている小惑星りゅうぐうの表面や内部から岩石試料を採取、2020年末に地球に持ち帰ることを目指している。そろばん玉のような形のりゅうぐうは直径約900メートル。生命の起源に関わる可能性のある水や有機物を含む岩石があると期待される。

最終更新:9/12(木) 13:40
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