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南ア戦で出た二つの課題=SO田村の出来、大きく影響-ラグビーW杯日本代表

9/12(木) 7:31配信

時事通信

 ラグビーのワールドカップ(W杯)日本大会が20日に迫る。自国開催で初の8強入りを狙う日本の現状を分析する。

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 ◇キック戦術とボール保持の併用
 日本代表がジョセフ体制となって磨いてきた攻撃がキック戦術。キックを多用して、アンストラクチャー(互いの陣形が整っていない状態)をつくり、そこから好機をうかがう戦い方だ。

 その戦法と、従来の速いテンポでボールを保持して攻める方法を併用できるのが今の強み。攻撃担当のブラウン・コーチは「対戦相手の特性に応じていろんなプランを持てる」と自信を持つ。

 7、8月に行われたパシフィック・ネーションズカップは戦術を使い分けた。アンストラクチャーを得意とするフィジーは蹴り合いを避け、ボールを保持して勝利につなげた。重量のあるトンガはキックで走らせ、相手の体力を奪って快勝した。

 ただ、本番前最後の実戦、6日の南アフリカ戦では課題が浮き彫りに。中途半端なハイパントはカウンターの餌食となり、ゴロパントの精度も低かった。もう一つは敵陣深くに入った時の攻め。相手の密集での圧力で球出しを遅らされ、速いパス回しができない。SH田中は「もう1、2秒速く出せば違った。密集の入り方を工夫すれば修正可能」という。

 強豪相手では不用意なキックが失点に結び付く可能性もある。FWの稲垣は「キックを蹴る際の、立ち位置やサポートなどのディテールを詰める」と話す。SO田村の的確なプレー選択も重要。今のチームはこの司令塔の好不調が大きく影響するのが懸念材料でもある。

 ◇前に出る防御に自信=キック処理にもろさも
 日本は相手との間合いを詰めて前に出る組織防御を徹底して鍛えてきた。体格で上回る海外勢に対抗するため、相手が勢いをつける前にタックルして前進を止める。

 ただ、少しでもラインにギャップができれば、ピンチに陥る危険をはらむ。この防御を遂行するには個々のタックル技術、1試合通して素早く陣形を整えられる持久力、コミュニケーション能力などが求められる。

 6月から1カ月以上にわたった宮崎合宿、その後のパシフィック・ネーションズカップを経て精度は上がってきた。完敗した6日の南アフリカ戦でも、前に出る守りはそれほど乱れなかった。CTB中村(サントリー)は「トライの取られ方も、何度も崩されてという形ではなかった。システムはいい」と自信を口にした。

 しかし、南ア戦ではキック処理でもろさを露呈。徹底してハイパントで体格勝負を仕掛けられ、劣勢となった。1次リーグで当たる強豪のアイルランドやスコットランドなども同様の戦法でくる可能性が高い。

 セットプレー、特にスクラムは南アともほぼ互角に組めた。とはいえ、自陣深くでのスクラム、ラインアウトは避けたい。そのためにもキック処理で後手に回らないことが重要で、その対策がカギとなりそうだ。

 ◇鍛えたフィジカル生かせるか=スタミナで打倒強豪を
 W杯イヤーの今年、日本代表は2月から合宿を重ねて体をつくってきた。スーパーラグビーのサンウルブズには主力を数人しか派遣せず、故障のリスクを避けて練習に徹した。

 肉体の鍛錬は6月の宮崎合宿で本格化。激しい当たりを伴う実戦形式を繰り返し、並行して筋力トレーニングも重ねた。7、8月に行われたパシフィック・ネーションズカップでその成果がはっきり表れ、体格の大きいフィジー、トンガ、米国に3連勝した。

 しかし、6日に行われた南アフリカ戦ではコンタクトプレーでやや押し込まれ、キックを巧みに使った相手に完敗した。フィジカルでは世界一と言われる南アだけに、その部分で劣勢だったのは無理もない。その差を体感した上で、W杯で当たるアイルランドなど肉体的強さを前面に出す強豪にどう対処するかが重要だ。

 ロックのトンプソン(近鉄)は「当たって押されても、うまく体を使って、もっと前進してボールを出さないと」。敵との体の接触が多いスクラムやラインアウトを減らすゲームプランも必要になるだろう。

 日本はスタミナも武器にする。南ア戦でも後半はよく走って反撃を試みた。SH流(サントリー)は「世界一走り込んできたという自信はある」。強豪にコンタクトプレーで互角に渡り合い、最後は走り勝つ-。こうした青写真を描けるほどの準備はできている。 

最終更新:9/12(木) 8:33
時事通信

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