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2020年から「クラス1」に移行するSUPER GTマシン3台を公開。ホンダ「NSX-GT」はFRに

9/12(木) 7:00配信

Impress Watch

 GTアソシエイションは9月11日、鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で記者会見を行ない、2020年からSUPER GTのGT500クラスに参戦する新型車両3台を公開した。

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 トヨタ自動車は「GR Supra」、本田技研工業は「NSX-GT」、日産自動車は「GT-R」で、いずれもDTM(ドイツツーリングカー選手権)の運営元であるITRと策定を進めてきた「クラス1」規則に準拠したもの。また、9月12日からGR SupraとGT-Rの2台が鈴鹿サーキットでテスト走行を実施する。

■NSX-GTはミッドシップからフロントエンジンに

 SUPER GTにおけるGT500クラスでは、2020年シーズンからGTAが「オートスポーツのグローバル化」を目指して策定した新たな「クラス1」規則に則った車両が用いられる。これには、アジアと欧州で車両を同一仕様に統一してレースを行なうことで、互いに参戦機会を増やし、同時に部品の共通化などによるコスト削減を行なうといった目的がある。また、SUPER GTやカーレースそのものの認知度を向上させ、レース業界全体を発展させる狙いもある。

 こうしたなか、SUPER GTのGT500クラスに参戦するトヨタ、ホンダ、日産の3社は、クラス1規則に適合した新たな車両を開発し、今回の発表に至った。クラス1規則のレギュレーション上は、主に2リッター4気筒ターボエンジンを搭載し、共通モノコックを使用するフロントエンジン・リアドライブ(FR)のレイアウトであることが求められる。とくにホンダは、これまでのNSX-GTが市販車両と同様のミッドシップエンジンだったこともあり、大幅な変更が必要となったが、その問題もクリアしてクラス1規則に準拠した。

 クラス1規則はDTMでも採用され、将来的にはSUPER GTに参戦する車両・チームがDTMにも出場したり、あるいは反対にDTMに参戦している車両・チームが日本のSUPER GTに出場するといったこともありうる。2019年の10月と11月には、現行車両を使用するとはいえ、そんな新たな取り組みの前哨戦とも位置付けられる交流戦がそれぞれドイツのホッケンハイムと日本の富士スピードウェイで開催予定となっており、GTAのレースのグローバル化に向けた取り組みの第1歩がスタートする。

■GR Supra■NSX-GT■GT-R

 記者会見におけるGTA 代表の坂東正明氏、および3メーカー代表のコメント要旨は以下の通り。

■株式会社GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏

 車両を開発されたトヨタ、ホンダ、日産、日本を代表する自動車メーカー3社のご担当の方々に、心から敬意と感謝を申し上げます。

 SUPER GTのGT500クラスでは、2020年からこの車両で戦うこととなります。「クラス1」規則はGTアソシエイション、ドイツのDTMを統括するITRが中心となって、日独の自動車メーカー各社とともに2013年から協議を繰り返し行ない誕生した技術規則です。コスト削減と、ヨーロッパ、アジアで同一の規則を作ろうという信念のもと、粛々と計画を立て、いろんな障害を乗り越えながら、同じ2リッターターボエンジン、同じモノコックを使用するルール化を進めてまいりました。

 クラス1規則が完成し、車両が開発されたことから、今後はDTM車両がSUPER GTに参戦することも、逆にSUPER GT車両がDTMに参戦することも可能となります。今回ホンダさんにもクラス1規則に完全に合致した車両を製作していただき、来年よりSUPER GTに参戦されます。このグローバル化の大きな1歩が、両シリーズのみならずアジア、そしてヨーロッパ、ひいては世界のモータースポーツの発展に大きく寄与することは間違いないと思っております。

■トヨタ自動車株式会社 GAZOO Racingカンパニー GR統括部主査 高橋敬三氏

 レースにおいてスープラは、SUPER GTの前身である全日本GT選手権時代から12年間に渡って参戦しており、4度のチャンピオンを獲得しました。その間、記憶に残る幾多の戦いを繰り広げ、今でも語り継がれるクルマとしてファンの皆さまに愛され続けています。そんなファンの皆さまのご期待に応えるため、再びGT500クラスにGR Supraで参戦し、新たな伝説が作れるようチーム、TRD一丸となって、来年の開幕に向けてクルマを仕上げたいと思っています。

 一方、残念ながらレクサスブランドとしてのGT500クラス参戦は、10年目の今年が最後となってしまいます。ファンの皆さまのためにも、ぜひ今年チャンピオンを獲って有終の美を飾りたいと考えています。

(実際のコスト削減について)今回のクラス1でさらに共通部品が増えたという事実もあり、コストとしては下がってきていると思います。ただ、開発領域が残されているところもあるので、その性能を上げていくのがわれわれが考えるべきことだと思っています。

(10月のDTM交流戦に向けて)行ってみないと分からないんですが、日本を代表して行くからには、3メーカーと戦っていい成績が残せるように頑張りたい。ただ、われわれが経験したことのないハンコックのタイヤなので、どうなるか。(レースウィークの)3日間、4日間でモノにできるか分かりませんが、(欧州3メーカーと)互角以上のいい戦いができるように頑張っていきたいと思います。(2020年のDTM参戦について)まずは来年のクルマを仕上げることが第一優先ですので、現時点ではDTMへの参戦は考えていません。

■本田技研工業株式会社 モータースポーツ部 部長 清水宏氏

 DTMでは2019年から、すでに技術規則クラス1の車両がレースに参戦しており、日本で開催されているSUPER GTにおいても同一技術規則の車両が来年から導入されることは、交流戦を含め、新たな価値を生み出すよい機会になると思っています。またこれは、世界中に、日本にSUPER GTというカテゴリがあることをプロモートする機会でもあると認識しています。明日の公開テストではこの車両は走行しませんが、これまでのNSX-GTの功績に恥じることのない素晴らしいパフォーマンスをお見せできるように開発を加速してまいります。

(実際のコスト削減について)共通部品を使いながらも新しい開発を継続していくのは、われわれにとっても新たなチャレンジ。まずは完全なクルマを作り上げることに注力したいと思います。迫力のあるエキサイティングで魅力あるレースを展開することで、さらに(多くの)お客さまにレース場に足を運んでいただければ、と考えております。

(10月のDTM交流戦に向けて)割り切った言い方をすると、ある意味エキシビションみたいな位置付けになる。タイヤが大きく違うところで、どういう対応をしていくのかが技術的に難しいポイントになるかと思います。(2020年のDTM参戦については)現時点でDTMへのこの車両での参戦は考えていません。

(ファンに向けて)共通部品を多く使った車両になりますが、その分、突き詰めていける技術もあると思うので、ホンダとしてはそこにこだわり、NSXの名前に恥じない戦いができれば。海外で長く仕事をしてきましたが、SUPER GTというカテゴリー、こういうことができるのは日本だけですので、アジア代表という意気込みでドイツに行き、日本の自動車メーカーのテクノロジーの高さを見せて来られればと考えています。

■ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル株式会社 COO 松村基宏氏

 日本国内最高峰のGTレースであり、3メーカーが全力で競争しているこのSUPER GT(GT500)で戦うことは、私ども日産、NISMOにとって非常に大きな意味を持っており、同じ規則で戦うメーカーにアウディ、BMW、そしてアストンマーティンが加わることで、さらにこのシリーズそのものの価値が高まっていくことに期待しています。クラス1規則のグローバルな広がりで、このモータースポーツが世界の広い人々に認知され、GTシリーズがさらに繁栄することを願っています。

 2020年はベース車両として引き続き日産 GT-R NISMOで参戦する予定です。開発テストが可能な3年に1度の機会になりますので、今まで積み上げてきた努力、あるいはフィードバックをもとに、皆さまに性能向上した姿を見せられるよう引き続き努力してまいります。今年で50周年を迎えるGT-Rは日産、NISMOにとって非常に大切なクルマで、そのGT-Rでレースを戦うことは私どもNISMOの重要な役割です。われわれは全力で準備して戦って参る所存ですので、ファンの皆さまには引き続き熱い応援をお願いしたいと思います。

(実際のコスト削減について)共通部品化による部品コストの削減はわれわれも認知しています。しかし、その分差別化できる部分が狭くなり、そうするとその分技術力を上げていかないと競争していけない。まずは競争力のあるクルマを作っていくところに注力したい。

(10月のDTM交流戦に向けて)タイヤが与える影響が非常に大きく、アウェーのコースでどうなるかは技術的にはなかなか言いにくいところです。しかし、初めてのコースで初めてのタイヤ(という状況で)、どれくらい(車両に)適応性があるのかには興味があります。ファンの方を裏切らないレースをして帰って来られたらと思っています。今のところNISMOとしては、交流戦以外の参戦は予定していませんが、出場を希望するチームがある場合は技術の支援を引き続きしていきます。

(ファンに向けて)同じクルマを使うので、新しいレギュレーションに対応して空力性能などを確保していくのがなおさら難しくなってきました。しかしながら、ファンの期待に応えていくためにも、ボディ形状を活かし、エンジン性能向上にも引き続き努力していきます。

Car Watch,日沼諭史

最終更新:9/12(木) 7:00
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