ここから本文です

メンバーが代わっても“リレー侍”が好記録を出し続けられる要因とは

9/21(土) 11:03配信

スポーツ報知

 27日開幕のドーハ世界陸上で、初の世界大会制覇を目指す男子400メートルリレー。今大会は小池祐貴―白石黄良々―桐生祥秀―サニブラウン・ハキームを基本布陣に戦う見通しとなった。銀メダルの16年リオ五輪、銅メダルの17年ロンドン世陸を経験したのは桐生だけ。東京五輪に向けて実績を積めれば、選手層の厚みも増す。選手同士が刺激し合う相乗効果もあいまって、価値ある五輪前年の世陸となるはずだ。

【写真】リレー侍、バトンパスミス

 とはいえ、日本の“お家芸”は精密なバトンパスだったはず。そんなにメンバーが代わって大丈夫? と思う向きもあるかもしれない。だが今月7日に山梨県内で公開された合宿で、不安は払拭された。各区間のバトンパス所要時間の目標値としている3秒7(手動計時)に迫るスムーズな継走を実現していた。土江寛裕・五輪強化コーチも「世界リレーは失敗したけど、実戦的に試合に出た選手がきちんと(技術を)積み上げられている」と頼もしげだった。

 実戦での強化―。土江コーチがリレー強化のキーワードとして掲げるテーマだ。この意味の一端を垣間見たのが、7月のダイヤモンドリーグ・ロンドン大会。多田修平―小池―桐生―白石で、日本歴代3番目の好記録となる37秒78をマークした。この試合前々日練習のこと。急きょ当日変更で割り当てられたのは、試合会場から車で20~30分ほど離れたロンドン郊外の施設。あいにくの大雨なのに、室内練習場は用具置き場と兼用で20メートル弱の長さしかない。見ているこちらも、途方に暮れるレベルの環境だった。

 結局、バトンを合わせたのは雨が弱まった隙に小池―桐生を1本だけ。ピンと張りつめた緊張感の中で、見事に合わせた。海外の試合で、環境は言い訳にならない。この集中力が、リレー侍の強さの源になっている。桐生が「(リレー代表には)自立している人しかいない。バトンもパッとできる。不安がないからこそ、失敗しない」と言う通り。ちなみに練習後は、DLでメンバー外だった飯塚翔太(ミズノ)についての雑談などで盛り上がっていた。オンとオフの切り替えのうまさと、チームの輪も感じさせられた。

 現在の日本記録は、リオ五輪決勝で出した37秒60。土江コーチは「東京で37秒4を切りにいく」と道筋を描いている。今季最高は、英国が出した日本記録と同じ37秒60。ジャマイカのウサイン・ボルトが去った今、37秒台前半を実現できれば、五輪金メダルの現実味はぐっと増す。心境著しいサニブラウンを加えるドーハの“リレー侍”は、どんなタイムで世界を驚かすのか。決勝は日本時間10月6日の午前4時15分開始。ぜひ早起きして、興奮を共有して頂きたいと思う。(陸上担当・細野 友司)

 ◆細野 友司(ほその・ゆうじ)1988年10月25日、千葉・八千代市生まれ。30歳。早大政治経済学部を経て2011年入社。15年より五輪競技担当。最近は新幹線や特急の名前を覚えまくる長男(2歳)の記憶力に、目尻が下がりっぱなし。

最終更新:9/21(土) 12:14
スポーツ報知

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事