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日比谷から音楽文化育てる プロデューサー、亀田誠治さん

9/12(木) 1:14配信

産経新聞

 東京のセントラルパーク、日比谷公園(東京都千代田区)。6月の週末、2日間にわたり無料の音楽祭「日比谷音楽祭」が開催された。豊かな緑の中、にぎやかな笑い声、おいしそうな匂い、そして弾むような音楽。そこには実行委員長を務めた音楽プロデューサーでベーシスト、亀田誠治さん(55)の夢見た景色が広がっていた。

 これまでに椎名林檎、平井堅、スピッツ、GLAY、いきものがかり、MISIAなど数多くのプロデュース、アレンジを手がけてきた。椎名らとはバンド「東京事変」を結成(現在は解散)。平成19、27両年には日本レコード大賞編曲賞も受賞し、J-POPの魅力をその構造とともに解説する音楽教養番組にも取り組んでいる。

 「フリーで誰もが参加できる、ボーダーレスな音楽祭」を目指し、今年初開催された同音楽祭。石川さゆり、布袋寅泰、JUJU、KREVAなど歌手や演奏家総勢約40組が大音楽堂(野音)や東京ミッドタウン日比谷などでステージを披露した。他にも楽器体験やワークショップ、セミナー、飲食ブースも展開。2日間延べ約10万人が、公園の緑の美しさを生かした新しい音楽祭を満喫した。

 「無料で親子、孫3世代が楽しめる音楽祭を作りたい」。その思いに突き動かされ、演歌やロック、ヒップホップなど好きな音楽から日頃耳にしない音楽まで触れられるステージや音楽体験の場を提供。「今ここにこの音楽が必要だというアーティストをそろえた」といい、メッセージ性を感じ取り新しい音楽の発見もできる「最高の出合いのきっかけ作り」を演出した。

 開催に向けて動き出したのはおよそ2年半前。「気軽に音楽体験をしてもらいたい」とあくまでも無料開催にこだわったが、周囲からは懐疑的な声も多かった。自らが企業などを訪れ時間をかけて熱意を伝えることで、賛同者が賛同者を呼んでいった。

 その情熱の源泉は、米ニューヨークで街を挙げて開催される「サマーステージ」を体感したこと。セントラルパークなどで若手から有名アーティストまで、ジャズやロック、クラシックなどさまざまなジャンルの音楽を無料で楽しめる約3カ月続く音楽イベント。午前中に夕方の公演の整理券をもらい、その後の時間は美術館に行ったり芝生でのんびりしたり思い思いに過ごす。その光景を見たとき、「豊かな生活だな」と感じると同時に「これが文化だ」と衝撃を受けた。

 「たくさんの人や力が集まり、継続し応援され、時代のうねりを越えながら文化は育っていく」。世代やジャンルを越えて誰もが参加できる同音楽祭は、「日本の音楽文化のボトムアップ」のための第一歩。音楽フェスや会員制交流サイト(SNS)を通じた盛り上がりが高まる一方、「いろいろな音楽文化があるという多様性の素晴らしさ」を感じてほしいという。

 来年の同時期には2回目の開催が決定している。迫る東京五輪を弾みに、海外の人にも「東京にはこの音楽祭があることや、日本の音楽文化の広がりを知ってほしい」。まだ「種をまいて双葉が出たばかり」の同音楽祭だが、「5年、10年、100年と続いていくものにしたい」と願っている。

(鈴木美帆)

最終更新:9/12(木) 1:14
産経新聞

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