ここから本文です

患者を悪化させる治療者にならないために 患者さんの訴えと治る力を信じること

9/12(木) 11:01配信

BuzzFeed Japan

HPVワクチンを接種した後に訴えられている症状は、HPVワクチンの成分とは関係ないと見られていますが、それではこの症状はどうして起きるのでしょうか?

そして、どうやったら治るのでしょうか?

痛みや体調不良を訴える女子たちを診察してきた大阪行岡医療大学特別教授、三木健司さんの講演詳報の2回目は実際の患者さんの症例を紹介しながら、治療法や患者を悪化させる対応について考えます。
【BuzzFeed Japan / 岩永直子】

18歳でHPVワクチンをうって、10ヶ月後に発症

ここで症例をご紹介します。

・25歳女性
・18歳で、HPVワクチンを3回接種
・接種後10ヶ月経ってから、手の関節痛、関節の腫れを発症
・多関節炎との診断で膠原病・関節リウマチ治療薬を使い、痛みは治ったが副作用で中断
・若年性リウマチの診断基準は満たさない
・MRIではわずかな関節水腫のみみられる
・朝起きれなくなり、仕事を退職

この人は、18歳の時にワクチンを3回うっています。25歳で私のところに受診したのですが、注射して10ヶ月ぐらい経ってから手が腫れてきたという訴えでした。

若い人で手が腫れてくる場合、若年性の関節リウマチという病気があるのですが、診断基準は満たしていないけれども、前に診たお医者さんはリウマチの手前かなということで治療薬の注射をうったのです。

結局、薬をやめてもやめなくても一緒だということで薬は中断しました。お医者さんも裁量権があるので、病気に近いかなと考えれば治療はできます。この薬は、1年間で100万円ぐらいするのですけれども、そんな薬をうつこともできます。

私はこの人について色々調べて、病気ではないけれども、関節の水腫があることだけがわかりました。

そうすると、病気ではない人に色々治療をすることが本当にいいのかということも考えなくてはいけません。たまたまこの人はワクチンをうっていたということなんです。

将来への不安を受け止めて、ちょっとずつ体を動かすように

この人は、心理的な要因を調べてみると、痛みのせいで日常生活ができなくなっていました。そして、その背景には不安やうつがありました。

こうした患者さんには、この病気は将来どんどん悪くなるものではないということを伝えてあげたほうが、患者さんとしては安心して、「それなら会社に行ってもいいかな」と思えるようになります。

やはりそういうことをケアしてあげるには、患者さんがこの症状についてどう思っているかを理解することが大事です。そういうのが行動医学の考え方です。

患者さんが今、身体症状を出して家で寝ているとします。でも、寝ている原因は症状というより、不安であったり、将来これはどうなるのかと心配していることでもある。

それならば、「ちょっとずつ体を動かしたほうがいいですよ」と伝えるのが、患者さんのためになるかと思います。

この人はワクチンをうっていましたから、皆さんは「ひょっとしたらワクチンのせいかな」思ったかもしれませんが、ワクチンをうったことに注目しているとこのような患者さんの思いを見落とすかもしれません。

1/6ページ

最終更新:9/13(金) 13:54
BuzzFeed Japan

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事