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平成に最大進化した食品卸業界 人口減・人手不足の時代に問われる真価

9/12(木) 20:02配信

日本食糧新聞

平成以前の食品流通業界の変遷をたどると、1960~70年代のスーパーの躍進は圧倒的だ。売上げと利益を倍々ゲームで伸ばし、株式上場や海外進出などの華々しい話題が躍る。しかし、1990年代に入ると様相は一変。バブル崩壊が引き起こした平成不況や大店法廃止など規制緩和の影響が色濃く出て、大手総合スーパーの倒産や身売りといった暗い話題ばかりが並ぶ。興味深いのは、この時期を境に大手食品卸の急成長が始まったことだ。

売上高1兆円を超える巨大企業4社を生み出す

振り返れば、1962年の「流通革命」以降、卸は流通階層における不要な存在であるかのように言われてきたはずだった。にもかかわらず、国内経済の低成長を尻目に、売上高1兆円突破や過去最高益更新、株式上場など快進撃が続く。

しかし、未曾有の躍進を続けた食品卸も平成中盤以降は本格的な人口減少の到来や人手不足など構造変化のあおりを受け、成長に足踏みを続けている。新たな時代の課題を克服し、再び成長軌道に乗れるか。卸の真価が問われる局面だ。

「日本の流通形態はいずれスーパーとメーカーの直接取引が主流となる。量販メーカーとチェーンとの直結が完成したとき、伝統的な問屋機構は排除される」--。1960年代、欧米型スーパーの台頭や大量生産・大量消費時代の到来を背景に、東大助教授(当時)の林周二氏が著書「流通革命」で提唱した問屋無用論は、業界で大変な物議を醸したとされる。

しかし、それから半世紀以上が過ぎた今、その読みはある部分では的中し、大きくは外れたと言えそうだ。日本の卸業界は「流通革命」以降も継続的に機能を発揮し続け、むしろ平成の時代に最大の進化を遂げた。

特に食品業界における大手卸はサプライチェーンへの関与度を大きく高め、1兆円を超える巨大企業4社を生み出した。日本加工食品卸協会(日食協)調査の2018年度有力卸総売上高は、11兆円に迫る産業基盤を確立。平成期には株式上場を果たした卸も相次ぎ登場し、企業価値に対する社会的評価も向上したと言ってよい。

それとは逆に、流通革命の旗手とうたわれたダイエー、西友といった総合スーパーは大店法が緩和された1990年代の環境変化を乗り切れなかった。競合大手や外資の傘下に収まる格好で姿を変えた。

今も小売業界上位のイオンやイトーヨーカ堂も長期的には伸び悩み、むしろ平成時代に大きく成長を遂げたのは、卸を盟友としてきた地域密着型の食品スーパーやコンビニエンスストアだ。近年は卸を使って加工食品を仕入れるドラッグストアが急速に伸びている。

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最終更新:9/12(木) 20:02
日本食糧新聞

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