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誤差3千億年に1秒、超精密時計開発へ前進 岡山大と理研グループ

9/12(木) 9:21配信

山陽新聞デジタル

 岡山大異分野基礎科学研究所(岡山市)や理化学研究所(埼玉、兵庫県)などの研究グループは、エックス線を使って人工的にトリウム原子核のエネルギーを吸収・放出させる遷移に世界で初めて成功したと11日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。世界標準に現在使われているセシウム原子を使った原子時計より精度が高い「原子核時計」の開発につながる成果という。衛星利用測位システム(GPS)などへの活用も期待される。

 原子時計は、原子が特定の周波数の光エネルギーだけを吸収・放出する性質を利用して、その光の周波数を基に1秒を計っている。セシウム原子を使った原子時計は約3億年に1秒の誤差が生じるとされるが、電子に囲まれて保護された原子核はより安定しているため、誤差は約3千億年に1秒まで減るという。

 グループは、原子核の中で最も低い光エネルギーを吸収・放出するとされるトリウム229の原子核について約5年前から研究。大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県佐用町)で原子核にエックス線を当てる実験を繰り返し、どの周波数で遷移するかを特定した。

 今回は、特殊な施設でエネルギーの高いエックス線の光を当てて成功しており、原子核時計の開発に向けては、エネルギーが低く、一般に扱いやすいレーザー光で遷移させることが課題という。

 原子時計は人工衛星にも搭載されており、衛星の電波が地上まで伝わる時間などから現在地を特定するGPSでは、より誤差の小さい精密な時計が求められている。

 グループの中心の1人の吉村浩司・岡山大異分野基礎科学研究所教授は「世界中でし烈な競争が繰り広げられている原子核時計の開発で、日本の先端技術を結集して研究を進展させることができた。実用化に向けた研究をさらに続けたい」と話している。

最終更新:9/12(木) 15:57
山陽新聞デジタル

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