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トッテナムは「最悪の時期」を乗越えられるのか…準Vチームの現在地と壮大なる冒険

9/12(木) 16:40配信

SOCCER KING

 トッテナムのファンならば、今季一度は自問自答したことだろう。果たしてスパーズは成長しているのか――。

「トッテナムでの5年間で最悪の時期」とは?

 今夏、チャンピオンズリーグ(CL)の準優勝チームは大いに揺れた。司令塔のMFクリスティアン・エリクセンが、残り1年となった契約を更新せずに移籍を希望したのだ。プレミアリーグの最近6年間で最も多くのアシスト数とチャンス演出数を記録した選手の移籍志願である。奇しくも、宿敵アーセナルを率いていたアーセン・ヴェンゲルの数年前の予言が的中することになった。高騰する移籍金がステップアップのネックになるため「多くの選手が契約満了を選ぶだろう」と。

 エリクセンだけではない。守備の要であるヤン・フェルトンゲンとトビー・アルデルヴァイレルトも契約最終年を迎えたのだ。加えて、移籍市場の“時間差”もスパーズを悩ませた。リーグ戦の開幕前に市場が閉まるプレミアリーグとは違い、国外のリーグは9月2日まで補強が許された。この空白の3週間は、トッテナムにとって、とりわけマウリシオ・ポチェッティーノ監督にとっては辛すぎた。

 だから「トッテナムでの5年間で最悪の時期」と漏らしたのだ。クラブ史上最高額でリヨンからフランス代表MFタンギ・エンドンベレを獲得できた夏だというのに――。

 アルゼンチン人指揮官が「最悪」と口にしたのは、ここ1年間で2度目のこと。1度目は昨年10月のことだった。“ゼロ補強”やスタジアム移転の延期が相まって「最悪の気分だ」と述べたのだ。とはいえ、その時はプレミアでクラブ史上最高のスタート(7勝2敗)を切っており、同情は買ったものの、そこまで心配されなかった。それでも、わざわざ「最悪」と表現したのには理由がある。CLのグループステージで最初3試合に1つも勝てず、敗退の危機に瀕していたからだ。ポチェッティーノとは、そういう男なのだ。

“ボーナス”にめっぽう強い勝負師

 クラブ首脳陣からすれば、スタジアム移転の費用を回収するためにCLは「出場すること」に意義がある。至上命令は、CLでの好成績ではなくCL出場権の確保なのだ。そのため、来夏フリーでの流出も覚悟してエリクセンを留まらせてプレミアでトップ4死守を目指すのだ。だからCLでの成績は、ある意味で“ボーナス”に近かった。ファンは嫌がると思うが、今のスパーズはトップ4にしがみついていた一時期のアーセナルと似ているのだ。

 だが決定的に違う部分もある。スパーズには“ボーナス”にめっぽう強い勝負師がいる。準優勝したとはいえ、昨季CLのシーズン成績を振り返れば5敗(6勝2分け)も喫した。準々決勝のマンチェスター・C戦、そして準決勝のアヤックス戦では、絶体絶命の窮地にも立たされた。それでも彼らは勝ち上がって見せたのだ。時には名を捨てて実を取る。そうやってポチェッティーノは勝利をもぎ取ってきた。

 9月初めのプレミア第4節のノースロンドンダービーも良い例だ。トッテナムはカウンター狙いに徹して勝ち点1を獲得した。消極的な戦術に映ったかもしれないが、練りに練られたゲームプランであった。カイル・ウォーカー・ピーターズの怪我で穴が空いた右SBには、本職がCBのダビンソン・サンチェスを起用した。少しそこを狙われる形になったが、試合後に指揮官は「彼はコロンビアのナシオナル時代に何度かサイドバックでプレーしていた」と反論。そして、アーセナル戦までの1週間はずっとSBで練習させていたという。

 さらに快速FWの韓国代表ソン・フンミンをアーセナルのCBと孤立させて一対一の状況を作り出したり、少し低い位置でハリー・ケインにロングボールを競らせてマイボールにしたりと、相手が嫌がることをやってみせた。結果としては引き分けだったが、勝つシナリオは用意していたのだ。

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最終更新:9/12(木) 16:40
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